発酵とは何か?
一般的には微生物の持っている機能を広く物質生産に応用して、人間の有益なものに利用することを発酵と呼んでいます。
英語で発酵は「fermentation」ですが、ラテン語の「湧く」という意味の「fervere」から生まれた言葉です。
小泉武夫(著)『発酵 ミクロの巨人たちの神秘』には、発酵は下記のように定義されています。
「無菌類、酵母類、糸状菌類(カビ類)、藻菌類そのものか、あるいはその酵素類が、有機物または無機物に作用してメタンやアルコール、有機酸のような有機化合物を生じたり、炭酸ガスや水素、アンモニア、硫化水素のような無機化合物を生じ、なおかつその現象が人類にとって有益になること」
人類や他の動植物と同じように、微生物も栄養を吸収して、それを分解したり、その栄養をもとにしてまったく別の物質をつくったりしながら、エネルギーを得て生きているのです。
栄養源は、微生物が生きていくのに不可欠なブドウ糖(炭素源)やアミノ酸(窒素源)になります。
人間も同様に、穀物を炭素源として摂取し、唾液や胃から分泌される消化酵素によって分解し、生成されたブドウ糖をつかって様々な代謝を行なっています。
また、肉や魚、豆腐などのタンパク質も、これを分解する酵素が働いてアミノ酸を生成し、そのアミノ酸が代謝に利用されます。
生命力を持たない特殊なタンパク質でできている酵素は、酵素の力によって分解されたり作用を受ける物質があると、直ちにそれに作用して、さまざまな物質を分解したり合成するという、生物にとって必要不可欠で、不思議なタンパク質なのです。
微生物からは、1000種類以上の酵素が発見されているというから驚きです。