キュプラ(cupro)という繊維は、「レーヨン」と同じくセルロースを原料とします。
キュプラの原料は、レーヨンが用いている木材パルプではなく、綿花を採取した後の種子の表面に付いて残っている2mm〜6mmほどの短い繊維で、紡績用には向かないコットンリンター(cotton linter)です。
コットンリンター(cotton linter)を溶かしてから固めて、繊維の状態にします。
目次
再生繊維であるキュプラ(cupra)の製造方法
キュプラの製造方法は、コットンリンター(cotton linter)を「銅アンモニア溶液(キュプランモニウムソリューション)」で溶解させたものを糸に(紡糸)します。
キュプラ(cupro)という名前は、「カッパー=銅」の合成語要素である「キュプル=銅の」からきています。
銅アンモニア溶液で溶かして糸が作られるため、「銅」という意味の「キュプラ(正式には「銅アンモニアレーヨン)」と名付けられたのです。
ちなみに「カッパー=銅」は、かつて銅を多く産した地中海のキプロス島(cyprus)にちなむとされます。
キュプラの特徴
キュプラは、再生繊維のレーヨンとよく似た風合いを持ちます。
合成された繊維ですが、原料が天然素材のため、土に埋めると自然に分解されます。
キュプラの特徴としては、光沢感があり、なめらかな肌ざわりが特徴的です。
スーツやジャケット、コートなどのの裏地にキュプラが多く使用される理由としては、やわらかくてしなやかで、ツルツルとしてた肌触りと、コットンリンター由来の吸湿性、放湿性があります。
キュプラのメリット
キュプラのメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 染色性が良い(染まりやすい)
- 繊維が細く、光沢がある
- 滑らでツルツルした肌ざわりがある
- 繊維の強度が高い
- コットンリンターが原料であるため、吸湿性、放湿性がある
- 静電気が起きにくい
キュプラのデメリット
キュプラのデメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- シワになりやすく摩擦に弱い
- 毛羽立ちが目立ちやすい
- 濡れると硬くなり、縮みやすい
- 燃えやすい