ものづくりを学ぶためにおすすめの本


ものづくりをしている人や、ものづくりについて学んでいる人におすすめできる本を紹介していきます。

ブルネロ・クチネリ(著)『人間主義的経営

ブルネロクチネリ(著)『人間主義的経営』

ブルネロクチネリ(著)『人間主義的経営』

ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)は、あざやかな色合いを特徴とするカシミヤセーターのメーカーとして、1978年に創業し、そこから世界有数のファッションブランドとしての地位を確立しています。

ブルネロ・クチネリ社の特徴としては、単にファッションを売るだけでなく、経営哲学や理念がものづくりに反映しており、彼らの生産拠点であるイタリアのソロメオ村を舞台にして、まちづくりと一体になった企業活動をおこなっているのです。

ブルネロ・クチネリ(著)『人間主義的経営』は、彼の著書『『II Sogno di solomeo(ソロメオの夢。私の人生と人間のための資本主義)』を日本語訳したものです。

彼の幼少期の生い立ちから、生まれ育った自然環境、影響を受けた過去の偉人や人々、会社経営を通して、なぜ「人間のための資本主義」を掲げて起業したのかが回顧録のようにつづらられています。

ものづくりに携わる人や企業で働く人にとって、「仕事をするとは?」、「会社経営とは?」など、ビジネスの世界で働くことの意味や意義について新しい視点を与えてくれるとなっています。

関連記事:ブルネロ・クチネリ(Brunello Cucinelli)の哲学と「人間のための資本主義」。ブルネロ・クチネリ(著)『人間主義的経営』

東浩紀(著)『訂正する力

東浩紀 (著)訂正する力 (朝日新書)

東浩紀 (著)訂正する力 (朝日新書)

批評家で哲学者の東浩紀氏の著書『訂正する力』には、「訂正する力」について目を向けることの重要性が説かれています。

人間は、「じつは……だった」という「訂正」を通して、物事を再定義してきた歴史があります。

過去を否定しリセットするのではなく、過去からの一貫性を持ちつつも解釈を変えながら前に進んでいき、現在とこれからを変え(訂正し)続けることの大切さについて、あらゆる事例を踏まえながら理解を深めることができます。

ものづくりには関係なさそうな本ですが、「訂正する力」こそ、ものづくりをおこなっているひとや、なにかひとつのことをやり続けている人にとっても必要なものだと感じます。

ものづくりに従事する人や職人と呼ばれるような仕事をしている人ほど、同じルーティーンや過去の慣習を頑なに守ろうとする傾向があるように感じます。

一つのことを続けることはもちろん大事なことですが、柔軟に「訂正する力」を発揮することで、新しい発見があるかもしれません。

過去の自分の行動や行いに対して、「こんなはずではなかった」などと自分を追い詰めるのではなく、「じつは……だった」という「訂正」を通して、良い意味で読みかえることで、自分自身を肯定することができる可能性もあります。

ものづくりに関わっている人や、ものづくりを学んでいる人にもぜひ読んでもらいたい本です。

関連記事:「だれが作ったか?」という物語の大切さ。ものづくりにおける「作家性」について

岡本太郎(著)『自分の中に毒を持て

岡本太郎(著)『自分の中に毒を持て』

岡本太郎(著)『自分の中に毒を持て』

ものづくりの良さを指摘する際は、たいてい、職人や器用な人たちが作った、狂いがなく正確にできているものを考えてしまうと思います。

プロが仕事をすることで良い作品が作られると思いますが、岡本太郎氏は、「下手で不器用な素人の手づくりにこそ良さがある」と著書『自分の中に毒を持て』で指摘しています。

下手な、不器用な、素人の手づくりの方がいいと思う。その方がずっと人間的に身近な感じをおぼえるし、見ていると夢がひらくからだ。あんまり器用に出来上がったものは冷たくて、何か自分の外っ側にあるような気がしてしまう。それは自分ではとうてい作れないもの、つまり本質的には自分から離れたものであるからだ。『自分の中に毒を持て』

また、器用に手先だけを動かしてつくるだけがものづくりではなく、心で作ることの重要性について書いています。

手で作るというのは、実は手先ではなく、心で作るのだ。生活の中で、自分で情熱をそこにつぎ込んで、ものを作る。楽しみ、開放感、そして何か冒険、つまり、うまくいかないのではないか、失敗するかもしれない、等々いささかの不安をのり越えながら作る。そこに生きている夢、生活感のドラマがこめられている。心が参加し、なまなましく働いていることが手づくりの本質だと言いたい『自分の中に毒を持て』

関連記事:不器用で下手な素人のものづくりには価値がある。ものづくりの本質は、心でつくること


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