紅花と藍の重ね染め


藍で下染したぞめしてから(藍下あいした紅花べにばなで染め重ねることによって、古くから紫色が染められていました。

平安時代には、藍と紅の二種・・の藍(染料)で染めた色が「二藍ふたあい」という色名で表現されていました。

紅花と藍の重ね染め

藍染で浅葱色あさぎいろに染めてから、紅花、もしくは蘇芳すおうで染め重ねた色合いを紅藤べにふじ色と言います。

紅藤べにふじ色は、その名の通り紅色がかった藤色ふじいろで、赤みの薄い紫色に用いられます。

江戸時代の『諸色手染草しょしきてぞめくさ』(1772年)に「紅ふじ 下地をうすあさぎ(浅葱)に染。すわう(蘇芳)うすくしてめうばん(明礬)少し入二へん染。とめにむしやしやきのあく(灰汁)にて染てよし。但し本紅をつかふ時は右のごとく下染の上に紅染のごとく染てよし」というようにあります。

『染物屋覚書』(1803年頃)には、「紅ふじは白ご(呉)引。随分濃すわう(蘇芳)へかね(鉄)少しくわへ引。早立あく留め。本紅ふじはすわう(蘇芳)の二番を早付。濃すわう(蘇芳)一度引。かわかざる内に濃あく(灰汁)にて留め。直にかね(鉄)にてくるべし。色かげんはかねぐりの時見合可申候」とあります。

「あく(灰汁)」とあるのは、ひさかき椿つばきなどのアルミ成分の多い灰汁あくを使用しているものと考えられます。

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