芭蕉は、中国原産の植物で寺院や庭園などに観賞用として植えられてきました。
長い楕円形の大きな葉が特徴的な芭蕉の日本での歴史は古く、平安時代初期には知られていたようです。
デザインにおける芭蕉(ばしょう)の葉

芭蕉(ばしょう)の葉が彫られた伊勢型紙
紋としても使用されており、江戸時代に刊行された紋帳(紋所の見本を集めた本)にも掲載されています。
芭蕉葉は、伊勢型紙の彫刻デザインにも用いられ、型紙に対して葉が大きくデザインされているものが多い傾向にあります。

芭蕉(ばしょう)の葉が彫られた伊勢型紙
芭蕉布(ばしょうふ)
イトバショウから繊維を採って糸にしたもので織られた芭蕉布は、沖縄の伝統工芸として知られています。
芭蕉の繊維は、湿気をよく吸収し、放熱するため、亜熱帯の高温多湿の気候に適した繊維であったことが知られています。
繊維としては、手触りにしっかりとしたハリを感じ、シャリ感があるため肌にべとつきにくく、快適な着心地である点が特徴的です。
芭蕉布は、13世紀ごろにはすでに生産されていたとされ、琉球王国時代には、大切な衣料となっていたのです。