投稿者「iroai.jp」のアーカイブ

デザインにおける隠笠文(かくれがさもん)・隠蓑文(かくれみのもん)

隠笠文かくれがさもんとは、宝尽くし文(たからづくしもん)のひとつで、この笠をかぶるとどこからも見えないという想像上の宝物です。

隠蓑文かくれみのもんも同じく宝尽くし文(たからづくしもん)のひとつで、これを着用すれば身を隠すことができるとされていた想像上のみのです。

みのとは、稲のわらなど、主に植物を編んで作られた伝統的な雨具の一種です。

隠笠文かくれがさもん隠蓑文かくれみのもんは、吉祥きっしょうの意味を持っていたことから染織品のデザインに多く用いられてきた模様(文様)です。

藍染された木綿糸(先染め)

6種類の基本的な染色の仕方と染料の種類。直接染法、反応染法、建染め染法、発色染法、媒染染法、分散染法について

染色とは、繊維品や革、紙などの製品に染料を用いて色をつけること(染める・着色)を表します。

染色の「染」の字は「水」を表す部首であるサンズイと、「木の枝葉」や「花のついた枝」などを表す「」をから成り立っており、もともとは草木を染料にしていたことが漢字からもわかります。

また、「そめ」は、古くは「しむ」といっており、「何かに他のものが浸透する」「液体に十分浸して浸透される・湿らせる」などを表すように、「染」「泌」「浸」「滲」「湿」などの字が当てられました。

この「しむ」から母音交代語として「そむ→そめ」が出て、「染」の字が当てられたとされます。

現代における染色方法は、基本的に6種類に分けられます。

染料の種類も数多くありますので、本記事で紹介していきます。 続きを読む

繊維におけるセルロース(cellulose)。セルロースが主成分である繊維に表れる特徴について

繊維におけるセルロース(cellulose)とは、天然の有機化合物のひとつで、植物に細胞(cell)として生成しています。

セルロースは、フランス人化学者であったアンセルム・ペイアン(1795年〜1871年)によって発見され、命名されました。 続きを読む

草木染めで木綿を染める方法。濃染剤(のうせんざい)を使用した方法が、簡単で染まりやすくオススメ

ウールやシルクなどの動物性の繊維であれば、比較的かんたんに染められますが、木綿を草木染めする場合は非常に難しいです。

草木を煮出して染め液を抽出しない藍染であれば、木綿との相性が良いのでよく染まりますが、いわゆる草木染めのなかでは特殊な例となっています。

一般的な煮出して染めるような草木染めは植物性の繊維に染まりづらいので、木綿や麻などの植物性の繊維を染めるためには特殊な下処理が必要です。

木綿を草木染めで染色する場合、例外的に絹よりよく染まることもありますが、基本的には絹に比べて染まりが悪く、染まったとしても淡くしか染まりません。 続きを読む

染色・草木染めにおける、紅露(クール)・そめものいも

そめものいも(学名Dioscorea cirrhosaは、ヤマノイモ科に属する熱帯地域に自生する植物で、長さが10mにもなるつる性の多年草です。

沖縄の八重山上布やえやまじょうふの絣糸を染めるための茶色の染料として「染物芋そめものいも」(クール・紅露こうろ)が知られています。

和名の「そめものいも」は、地中に80㎝ほどにも成長する黒みがかった赤色の塊根かいこんいも)があり、これが赤褐色せっかっしょくの色素を含み、染色に使用することから由来しています。

そめものいもは、マングローブの木(漂木ひるぎ)や車輪梅しゃりんばいなどと共に、魚介類を捕獲するために用いる漁網ぎょもうを丈夫にし、扱いやすくするために使用されたカテコールタンニン系の染料です。

マングローブの樹皮にはタンニンが多く含まれているので、抗菌や防腐の効果も高いとされています。 続きを読む

デザインにおける額文(がくもん)

額文がくもんとは、神社仏閣などに掲げる額を模様化(文様化)したものです。

紋章には、神聖視する意味で額文がくもんが用いられました。

江戸時代中期ごろには、額文がくもん小袖こそでおびに用いることが流行します。

江戸時代中期に作られたとされる「唐織からおり 紅地七宝繋額模様べにじしっぽうつなぎがくもよう」は、地紋じもんの七宝繋ぎ模様をすべて平金糸ひらきんしで織り出し、額文がくもんの中にはさまざまな細かいデザインが巧みに採り入れています。

唐草模様(からくさもよう)伊勢型紙

デザインにおける花卉文(かきもん)

花卉文かきもんとは、草花や樹木を模様化(文様化)したものを表します。

ヨーロッパでは草花や樹木を写生的(自然や事物を実際に見たままに描くこと)に扱うことが少なく、ロゼット(rossette)やパルメット(palmette)、唐草模様などにデザインされましたが、東アジアや日本などでは写実的に扱われることが多くありました。

古くは、中国やインド、ペルシャなどからの影響が大きく、唐花からはな宝相華ほうそうげなどの空想的な花卉文かきもんが愛好されていました。

近世以降は、特に、藤や燕子花かきつばた、紅葉などを写生的に扱い、花卉かきの趣や季節感が表現されてきました。

デザインにおける垣根文(かきねもん)

垣根文かきねもんは、家屋の外周に設けた垣根を模様化(文様化)したものです。

材料や作り方、形や好み、場所などによってさまざまな種類の垣根文かきねもんがあります。

花卉文かきもんや風景文と共に用い、情趣が添えられます。

花卉文かきもんとは、地面から生えた草花を模様化(文様化)にしたもので、牡丹ぼたん石榴ざくろ、菊、椿つばき薔薇ばらなどの植物がよく用いられます。