綿織物にオイルをコーティングすることで、防水性や独特の光沢やぬめり感を出せます。
オイルコーティングやオイルクロス(oil cloth)などと言いますが、もともとは綿の織物に、成熟した亜麻の種子から得られるアマニ油や桐油などの、空気中で徐々に酸化して固まる乾性油を塗っていました。
目次
オイルコーティングの効果
オイルコーティングの用途としては、テーブルクロスや壁に貼る布、帆布や雨衣等によく使われていました。
今では、ポリウレタン、アクリル、エナメルやラッカーなどの樹脂をコーティングして、撥水・防水効果を出したり、風合いの調整のためにシリコン樹脂、フッ素樹脂、油脂類、架橋剤(イソシアネート、エポキシ、メラミンなど)を加えて、乾式コーティングをしています。
樹脂は基本的に無色透明であって、塗ってもオイルの上から生地がしっかりと透けます。
オイルコーティングによって防水性、保湿性や耐熱性など、機能性の向上にも期待が持てるのです。
ファッションにおけるオイルコーティング
古くは機能性を向上させることを目的として、ジャケットやコートにオイルを塗っていましたが、現在ではもっぱらファッション性の向上のために使用されています。
オイルコーティングすることで、さまざまな利点(メリット)があります。
- 防水性がある
- 独特の光沢感やぬめり感がある
- 布自体が丈夫になり、長持ちする
- 経年変化による風合いを楽しめる
- 保温・保湿性が増す
一方、オイルコーティングによる欠点(デメリット)もあります。
- オイルや樹脂によって、ほこりや汚れがつきやすい
- オイルが塗ってある洋服自体が重くなる
- 通気性が悪くなるので蒸れやすい
- 普通の洋服のようには洗えない
上記の欠点を踏まえ、メンテナンスがきちんとやろうとする意思がある人でないと、所有するのは難しいかもしれません。
メンテナンスが難しいけれど、しっかりとケアができれば、好きな人には非常に刺さるアイテムなのでしょう。
衣類にオイルコーティングをした理由
そもそも、なぜ昔の人が衣類にオイルでコーティングしようと思ったのかを考えてみると、やはり機能的な面での利点にあります。
水を弾いてくれる繊維が開発されておらず、レインコートなどというものはなかった時代においては、「綿繊維だけどもしかしたらオイル塗ったら水弾いてくれるのではないか?」というアイデアが出てくるのは、必然だったのでしょう。
イギリスにおいては、第一次世界大戦時に、防水服として軍にオイルコーティングされた服も配られていました。
フィルムコーティング
オイルコーティングとは別に、フィルムコーティングというものもあります。
フィルムコーティングは、ポリウレタン、ポリエチレン、塩化ビニール、合成ゴムなどのフィルム状のものを、綿織物と合わせて接着したものです。
洋服用には、ポリウレタンやポリエチレンの薄いフィルムを使ったり、テーブルクロスのように厚い生地のものには、塩化ビニールや合成ゴムが使われたりします。
レジン(樹脂)加工
布地に合成樹脂をコーティングして、繊維を硬く、張りのあるものにできます。
樹脂は英語で、レジン (resin)なので、レジン加工と呼ばれたりします。
繊維の表面が樹脂でコーティングされるので、シワになりにくくなり、縮みも防止されます。
染色した後の色落ちを減らす(染色堅牢度を高くなる)効果を得られるので、製品で染められた衣類が仕上げにレジン加工される場合もあります。