綿繊維は、苛性ソーダで処理すると収縮(縮む)する性質があります。
そこまで厚みのない平織りの綿織物に、強アルカリの苛性ソーダ(水酸化ナトリウム溶液)を含んだ糊をプリントしたり、先に樹脂等で防染しておいてから苛性ソーダに浸けるかすると、苛性ソーダがついた部分が収縮して、その他の部分も自然な縮み方をします。
リップル加工(ripple finish)とは?
苛性ソーダをつかって生地に凹凸やしぼのある部分をつくることを、リップル(クリンプ)加工や塩縮加工といいます。
リップルは英語で「ripple」ですが、意味は「(水面などが)さざ波が立つ」「波紋をつくる」などとという意味です。
名前のようにリップル加工された生地は、表面にさざ波が立ち、波紋が広がったようなシボがあるのが特徴の生地です。
ストライプ状に加工すると、しじら織りのような凹凸感のある生地になります。
他に、綿の綿繊維の収縮を利用する方法にエンボス加工があります。
エンボス加工では、綿の布地に熱可塑性の樹脂をしみ込ませた後、表面に模様を彫刻した金属製のローラーを加熱すると、立体的な凹凸模様をつくれます。
熱可塑性とは、熱すると柔らかくなる性質を持つという意味です。
シルケット加工・マーセリゼーション(mercerization)
木綿を引っ張った状態で、高濃度の苛性ソーダ液に通し、水洗い、乾燥させると、染料や薬品の吸収が良くなり、光沢感が出ます。
絹のような光沢感が出るため、日本ではシルケット加工と呼ばれていますが、苛性ソーダに浸けて処理加工すること自体を、マーセル化(マーセリゼーション)とも言います。
1884年、ジョンマーサーの発明によるものからこの名前があります。
縮みを防ぎつつ処理することで、繊維が引き締められ、滑らかにするために絹のような光沢と感触を生じ、強さも増します。
一般的に光沢感があるかないかは、表面が平らでなめらかであればあるほど高くなり(平滑)、逆に表面がザラザラであるほど光は乱反射するので、つやは低くなります。
苛性ソーダによるシルケット加工は、5℃以下の場合コールドマーセリゼーションと呼び、低温ほどアルカリの濃度が低くても効果は大きいです。
木綿を引っ張らずに苛性ソーダ液に浸けると、著しく収縮します。
この場合は、光沢感は出ませんが、染料の吸収はシルケット加工よりさらに良くなり、伸縮性のある糸となります。