いくつもの島々からなるインドネシア。
古くから織物が盛んなこの国では、平織りが最も一般的で、無地、縞、絣なども織られてきました。
現在観光地として世界中から旅行客が集まるバリ島でも、その独自の文化の一役を担うものとして染織が行われてきました。
バリヒンドゥーと呼ばれる独自に発達した宗教生活上では、染織品は舞踊や祭儀の衣装、魔除けの布として非常に重宝されてきました。
木綿、絹、金銀糸を使って無地、縞、紋織、綴織が織られ、華やかな染織文化が発達した歴史があります。
その土地の宗教と深く結びつく織物
バリヒンドゥーの象徴といえるのが、白と黒の格子布であり、軽やかに透けたその布はバリ人だけが織っていたそうです。
経糸を空羽を使って筬に通し、緯糸も部分的に空けて織ってあり、縫い取りで模様を入れた布もあります。
また、藍や赤を基調にした格子布も織られています。
色には重要な意味があり、白色は、シヴァ、黒はフィスマ、黄色はマハデワ、赤はプラフマといったように、それぞれの神々を象徴するものとされています。
織物文化は、それぞれの国々の文化とともに発達した歴史があり、事例を調べてみると、非常に興味深いことがわかってきます。