『広益国産考』(こうえきこくさんこう)大蔵永常(著)

『広益国産考』(こうえきこくさんこう)における染織に関する記述


江戸時代後期の農学者である大蔵永常おおくらながつね(1768年〜1860年)は、宮崎安貞みやざきやすさだ佐藤信淵さとうのぶひろとともに、江戸時代の三大農学者の一人とも言われています。

大蔵永常おおくらながつねの著書で、全八巻から成る『広益国産考こうえきこくさんこう』には、60種類ほどの商品作物を取り上げられ、栽培や加工方法、作物に適した農具や流通過程などについての記載があります。

『広益国産考』(こうえきこくさんこう)における染織に関する記述

広益国産考こうえきこくさんこう』では、農家経済の安定と向上を目的として、商品作物の栽培を勧めています。

染織に関係しては、第一巻で紅花べにばな、木綿、くわ、麻、養蚕、絹織についての記述があり、第七巻には、桟留さんとめ縮の製法について詳しく書かれています。

使用する織機や経糸に必要な糸の量などが記載され、尾張(愛知県西部)や三河(愛知県東部)、遠江(静岡県西部)付近で織る場合は、上中下三種類の縮について、原価計算が示されているのが注目される点です。