デザインにおける梶の葉文(かじのはもん)。梶の枝と葉をかたどった模様(文様)について


かじの木(学名:Broussonetia papyrifera)は、クワ科コウゾ属の落葉高木で、単に梶(かじ)、または構(こう)などとも呼ばれます。

かじの枝からとれる繊維は、和紙の原料としても用いられてきました。

そんなかじの枝と葉をかたどった模様(文様)は、「梶の葉文(かじのはもん)」として古くからデザインに用いられてきました。

デザインにおける梶の葉文(かじのはもん)

梶の葉,Broussonetia papyrifera Brusonecja chińska 2011-09-11 06

梶の葉,Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

平安時代には、乞巧奠きこうでん(七夕祭)を修する際に必ずかじの葉が用いられ、これに詩歌を書き、二つ星(織姫星と彦星)を祭ったとされます。

かじの葉文を衣服の模様(文様)に用いた様子は、平安時代末期の絵巻物である『伴大納言絵詞ばんだいなごんえことば』にみえます。

室町時代に鎌倉を拠点に、関東を支配した関東府(鎌倉府)に関する故実書こじつしょである『殿中以下年中行事でんちゆういかねんじゆうぎようじ(鎌倉年中行事)』には、室町時代の七夕祭の際に、将軍の式服にかじの葉文が用いられたとあります。

江戸時代に作られた帷子かたびらである「帷子かたびら白麻地七夕文様しろあさじたなばたもんよう」のように七夕に関連して梶の葉が表現されている染織品が作られており、古くからの伝統を受け継いだデザインとなっています。

かじの皮は、古代神祭の際の神への供え物(幣帛へいはく)に用いられ、葉は食器として神事に用いられました。

そのため、かじの模様(文様)は神官の間で使用され、紋章もんしょうにもなりました。

諏訪すわ大社の「諏訪梶すわかじの葉紋」をはじめ、多くの神社の神紋にかじの葉が用いられています。

諏訪梶の葉・上諏訪梶の葉(すわかじのは・かみすわかじのは),Japanese crest Suwa Kajinoha(White background)

諏訪梶の葉・上諏訪梶の葉(すわかじのは・かみすわかじのは),Mukai, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

例えば、「立ち梶たちかじの葉」は日本の家紋である「梶紋かじもん」の一種で、徳島県にある忌部いんべ神社などが用いています。

立ち梶の葉(たちかじのは),Japanese crest tachi Kajinoha(White background)

立ち梶の葉(たちかじのは),Mukai, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link


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