ファッションにおけるサスペンダー(suspender)。洋服における吊り紐(つりひも)について


サスペンダーは、本来は「サスペンダーズ(suspenders)」といい、肩に回して用いる「ズボン吊り」や「スカート吊り」などの吊りヒモを表します。

「サスペンダーベルト」、「サスペンダーストラップ」、「トラウザーサスペンダーズ」、「スカートサスペンダーズ」などと同義語になります。

ファッションにおけるサスペンダー(suspender)

サスペンダー,Suspender (PSF)

サスペンダー,Suspender,Pearson Scott Foresman, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

18世紀後ごろのイギリスの職人や労働者、農夫たちが肩に回した吊り紐の付いたゆとりのある(ダブダブな)ズボンを良く穿いていました。

肩に回した吊り紐は、「ブレーシズbraces(縛り紐)」と言いました。

初の紐はズボン本体に固定した形でしたが、のちに紐が取り外しできるように改良されました。

イギリスでは、今でも「ブレーシズbraces」と言いますが、アメリカでは、ズボン吊り紐を「サスペンダー」と呼んだのです。

ちなみにイギリスにおけるサスペンダーは、「靴下吊り」や「ハンガー(洋服掛け)」や「吊り縄」などをあらわします。

アメリカでは、「靴下吊り」のことを「ガーター」と言います。

ズボン吊りとしての吊り紐の形は歴史とともに変化していき、当初は背中から見てH型でしたが、18世紀末期にはX型になり、19世紀以降は主としてY型になりました。

20世紀に入ってから、上着を脱いだ時の吊り紐だけのスタイルが不恰好であるという考え方が広まっため、その後はあまり活用されなくなりました。

ただ、現在でもベルトで腹部を締め付けないためや、シルエットが綺麗に出るなどの理由で、愛用している人もいます。

また、タキシードなどの礼服を着用する場合には、サスペンダーが一般的に用いられます。

サスペンダーの語源

サスペンダーは、「suspend(サスペンド)=吊るす、保留する」という言葉からですが、語源はフランス語の「suspendre」を経由して1300年ごろに「一時中止」、1425年ごろに「吊るす」という意味で文献に初出しています。

主に自動車において、路面の凹凸を車体に伝えない緩衝装置としての「サスペンション」と姉妹語です。


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