サイザル麻(sisal hemp)とは?サイザル麻の特徴と用途について


サイザル麻sisal hemp(学名:Agave sisalana)は、キジカクシ科リュウゼツラン属の植物、およびそれから採取した繊維を表します。

「サイザル麻」と名付けられているように「麻」の繊維の一つとされますが、いわゆるアサ科アサ属の「アサ」とは植物学的に別種です。

サイザル麻(sisal hemp)とは?

サイザル麻 ,Agave sisalana MS4043

サイザル麻,Agave sisalana,Marco Schmidt [1], CC BY-SA 2.5 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.5>, via Wikimedia Commons,Link


サイザルという名前は、メキシコのユカタン半島の港「sisal」から麻として積み出されたことが由来です。

スペインには、1785年にサイザル麻が移植され、その後は世界各国に栽培が広まり、カリブ諸島やブラジル、タンザニアを中心とするアフリカ各国、アジアなどで栽培されました。

特に盛んになったアフリカのタンザニア産のものは、「タンガニーカシサルヘンプ」というなど、それぞれの土地の名前をつけて呼ばれることがあります。

サイザル麻は、化学繊維の普及する以前には多く栽培されていたのです。

サイザル麻は、成長すると2mを超えるほどの大きさになります。

サイザル麻の特徴と用途

長い葉から採れるサイザル麻の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

サイザル麻の特徴

  • 繊維の強度が高く丈夫
  • 水に強く、水中で腐食ふしょくしにくい
  • 光沢がある
  • 柔軟性や弾力性が高い
  • 湿気を含むと収縮し、乾燥すると伸張する
  • 摩耗に強い
  • 繊維が硬いため、衣類を作るのには適さない

サイザル麻の用途

サイザル麻の用途としては、上記に挙げた特徴のように、繊維の強度があり、水に強く、水中で腐食ふしょくしにくいため、船舶用のロープや漁網などの麻ロープとして広く活用されてきました。

繊維を使用して、カーペットを作ったり、バッグや物を入れる袋にも活用されました。

紙の原料(製紙用)としても、フィルターや紙幣などに使用されます。

サイザル麻に似ている繊維、エネケン

 エネケン,Agave fourcroydes

エネケン,Agave fourcroydes,Michiel1972, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons,Link

サイザル麻に似ている繊維であるエネケンhenequen(学名Agave fourcroydes)は、中米原産でリュウゼツラン亜科の一種です。

エネケン繊維は、ユカタン半島などでは「緑の黄金(green gold)」とも呼ばれていました。

エネケンは、パイナップルに似た短いくきがある作物の上部から、灰色がかった緑色で、堅く多肉質(葉や茎など、植物の一部が肥大し、肉厚になる性質)の葉が成長します。

サイザル麻と同様に、1780年ごろから、スペインにエネケンでできた製品が持ち出されるようになり、1811年には輸出品として、ハンモックや袋物、敷物や荷鞍にぐら(馬や牛の背にえて荷物を載せたりするための道具)など600万ドル規模の取引がなされていました。


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