鳥居清重(とりいきよしげ)「宝珠と熨斗の台を持つ佐野川市松」

市松模様(いちまつもよう)とは?市松模様の由来や意味について


市松模様いちまつもよう(checker-board)とは、四角い白と黒などを、上下左右に互い違いになるように並べた格子柄こうしがらを意味します。

英語における「チェック(check)」、「チェッカー(checker)」に当たります。

市松模様(いちまつもよう)とは?

市松模様は、江戸時代中期の元禄げんろく(1688年〜1704年)の頃から流行し、その当時は「敷瓦しきがわら(石畳のような模様)」や「石畳いしだたみ」、「あられ」などと呼ばれていました。

そのため、江戸時代以前から存在する家紋かもん名物裂めいぶつぎれなどに表現されていた石畳模様は、「市松」とは呼ばれていませんでした。

市松模様の由来としては、歌舞伎役者の佐野川市松さのがわいちまつが舞台衣装のはかまに用いたことから、「市松模様」という名前が定着していきました。

関連記事:名物裂(めいぶつぎれ)とは?名物裂の種類や特徴(金襴、緞子、間道、錦、繻珍、風通、金羅、金紗、印金、天鵞絨、モール、更紗)

佐野川市松と「市松模様」

佐野川市松さのがわいちまつが江戸中村座で演じた『心中万年草しんじゅうまんねんそう』の芝居の中で小姓こしょう粂之助くめのすけに姿を変えた際に、白色と紺色の正方形を交互に配したはかまを履いていました。

市松の愛用した模様は、当初は「石畳いしだたみ」と称されていましたが、後に「市松模様」や「市松格子」、「元禄模様」などと呼ばれるようになります。

佐野川市松さのがわいちまつが「市松模様」を好んで使用し、その姿を浮世絵師の奥村政信おくむら まさのぶ(1686年〜1764年)、鳥居清重とりいきよしげ石川豊信いしかわとよのぶら描いたことから、市松模様が着物の柄として流行しました。

奥村政信,Sanogawa Ichimatsu I with Puppet by Okumura Masanobu, 1749

奥村政信,「佐野川市松の人形使い」,Okumura Masanobu, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

鳥居清重「(宝珠と熨斗の台を持つ佐野川市松)」Sanogawa Ichimatsu I

鳥居清重「宝珠と熨斗の台を持つ佐野川市松」Torii Kiyoshige, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

石川豊信「提灯と傘を持つ佐野川市松」 延享・寛延期(1744-51)

石川豊信「提灯と傘を持つ佐野川市松」 延享・寛延期(1744-51)

市松模様の意味

市松模様は、正方形や長方形を格子状に並べた柄が途切れることなく連続する模様であることから、「繁栄」や「発展」などの意味が込められています。

市松模様はその意味から、縁起の良い模様として人々に愛されてきたのです。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です