デザインにおける兎(うさぎ)


うさぎを模様化(文様化)することは、中国から月の兎の伝説とともに伝わったとされます。

日本において、兎の模様(兎文うさぎもん)が表現されている遺品で最も古いのは、奈良県斑鳩町いかるがちょう中宮寺ちゅうぐうじが所蔵する「天寿国繍帳てんじゅこくしゅうちょう天寿国曼荼羅繡帳てんじゅこくまんだらしゅうちょう)」にみられる「薬壺を前にした兎文様うさぎもんよう」です。

天寿国繍帳てんじゅこくしゅうちょう」は、飛鳥時代(7世紀)の染織工芸品とされます。

天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう),左上に兎が描かれている,Tenjyukoku embroidery (cropped to upper two thirds)

天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう),左上に兎が描かれている,TOKYODO, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

日本最古の月兎(不老不死の薬を作っている姿),天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)Tenjukoku Shucho detail

日本最古の月兎(不老不死の薬を作っている姿),天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう),Tokyo National Museum, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

日本神話(古事記)におけるうさぎが出てくる物語である「因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)」や、謡曲ようきょく(能の詞章ししょう)の「竹生島ちくぶしま」に由来して、兎に波を配したもの(波ウサギ)が工芸品や染織品に多く作られ、辻が花(つじがはな)でも表現されたきれが残っています。

花兎金襴はなうさぎきんらんという名前でも呼ばれる「角倉金襴すみのくらきんらん」は、草花の下にうさぎがいる模様(文様)で、京都の豪商であった角倉了以すみのくらりょうい(1554年~1614年)が愛用したと伝えられるきれ名物裂めいぶつぎれ)です。


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