キルト(quilt)とは、2枚の布の間に綿(ワタ)や毛、羽毛などの詰めものをいれ、そのままでは中で詰めものがズレてしまうため、表から要所に抑え縫い(キルティング(quilting))している生地を表します。
縫い合わせた生地を、「キルティング(quilting)生地」ともいい、基本的には「キルト」と「キルディング」の用語には違いはありません。
目次
ファッション・服飾におけるキルト(キルティング)の特徴
キルト(キルティング)は、抑え縫いのステッチを、ダイヤモンド柄や波線など、模様的に組み合わせて構成されます。
キルトは、防寒用の衣類の他に、クッションや掛け布団などインテリアの装飾品としても用いられます。
キルティング(quilting)の日本語訳は、「綿入れ」「刺し子」になる。
ただし、刺し子は詰め物を入れた形ではなく、土台の布の補強に別布を部分的に重ねて縫い刺したものなどを指すため、「キルティング」と実態は異なります。
薄い詰めものを入れてキルティングしたコートは、キルティングコート(quilting coat)と言います。
キルト(キルティング)を使用するメリット
キルト(キルティング)を使用するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 防寒用に使用され、保温性に優れている
- 中綿が入っているため、クッション性があり、耐久性もある
- 生地自体にステッチが入っているため、生地がやぶれにくく、丈夫で型崩れしにく
- 生地自体に風合い(凹凸)があるため、シワになりにくい(シワが目立ちにくい)
キルト(キルティング)を使用するデメリット
布の間に綿(ワタ)や毛、羽毛が入ることによって上記のようなメリットが多くありますが、デメリットを挙げるとすると、以下のようなものあります。
- 中綿が入ると生地が厚くなり、体積が大きくて場所をとる(かさばる)
- 中綿が入っていると洗濯したあと、内側部分が乾くのに時間がかかる (乾燥時間が長い)
キルト(quilt)の歴史
中世から近世初頭、ヨーロッパではキルト(キルティング)の衣服を男性が着用していました。
衣服の保温性を高めたり、金属製の甲冑を身につける際の胴着として下に着込み、「緩衝材」としても活用しました。
また、甲冑の内張りにも使用されていました。
16世紀に入ると、キルティングの胴着は、「ダブレット(doublet)」と呼ばれて表着となりました。
17世紀には、貴婦人の間でもキルトが大流行するようになり、「キルティングドレス」が宮廷着としても用いられるようになります。
キルトの語源
キルトの語源は、ラテン語の「culcita=布団、枕」で、古フランス語の「coilte=束、詰め物」を経由して1300年ごろに文献に初出している「quilt=刺し子の掛け布団(ベッドキルト)」からです。
ラテン語の「culcita」は英語のクッションにもなっており、両者は姉妹語です。
アメリカの開拓時代には、イギリス系やオランダ系の移民女性が発達させた手の込んだキルティング(アメリカンキルティング)は、表布の「パッチワーク」や「アプリケ」と複合させて作られていました。