追洲流、すなわち蛇籠を形どった模様(文様)は古くから紋章や染織品などのデザインに用いられてきました。
「追洲流」とは、河岸の土手が崩れるのを防ぐために護岸用に使った「蛇籠/蛇篭(じゃかご)」(長い籠に石をつめ河岸に横たえたもの)と、それを止めるための杭(臥牛=寝ている牛)の構造物をかたどったものを表します。
追洲流のデザインとしては、蛇籠に杭があるもの、杭だけのもの、蛇籠だけのものの三種類あります。
デザインにおける追洲流(おうすながし)・蛇籠(じゃかご)
日本語における「蛇籠/蛇篭(じゃかご)」という名称は、護岸用の設備としての完成形が蛇に似た形状で組み上げられる籠であることに由来するとか、または河岸にはヘビが生息しやすい環境であり、河川においては蛇に関わる伝説がつきものであったことに由来するとも言われます。
江戸時代には、染織品のデザインにおいて追洲流(蛇籠)がさまざま形で用いられてきました。
例えば、「蛇籠桜樹模様小袖」には、蛇籠とその奥から立ち上る満開の八重桜が友禅染で表現されています。
「薄黄縮緬地蛇篭芦模様小袖」、「帷子 白麻地芦蛇籠模様」、「振袖 白繻子地蛇籠晒布模様」など、蛇籠をモチーフとしたデザインの小袖や帷子などの優れた衣服が数多く作られました。