木酢酸鉄は、鉄屑を木酢酸の中で長時間放置して、溶解させたものです。
木酢酸鉄は、鉄媒染としてタンニンによる黒染め等に使用されます。
木酢液(もくさくえき)
空気を断ったなかで木材を蒸し焼きにすると、ガスが発生して後に木炭が残ります。
このガスを冷却しすると、木ガス(もくがす)、木酢液及び木タール(もくたーる)が得られます。
木酢液は乾燥した木材の重量の約35%ほど得られますが、質の悪いものだと可溶性の木タールが一部含まれ、黒褐色をした刺激臭のある液体となります。
木酢液の80%〜90%は水分ですが、非常に多くの物質が含まれています。
メチルアルコール、ギ酸、酢酸、酢酸メチル、ホルムアルデヒド、アセトン、アンモニアなどが含まれます。
この中では酢酸が最も多く含まれ、広葉樹材の場合には、乾燥木材重量の5%〜7%ほどになります。
その次に多く含まれているのが、メチルアルコールで、1.5%〜2.5%ほど含まれます。
かつては、木酢液から酢酸やメチルアルコール、アセトンなどを製造し、木酢酸鉄や皮を鞣すのに使用されていましたが、現在ではほとんど行われていません。
木酢酸鉄は、現在でも染料店で販売されており、草木染めなどに用いられています。