江戸時代後期に、茶器名物に関する図録である『古今名物類聚』が出版されます。
この書物に挙げられる名物裂は、名物裂の基本とされています。
『古今名物類聚』は、出雲の松江城主であった松平不昧(1751年~1818年)が、寛政元年(1789年)から9年にかけて編纂されました。
茶器名物に関する図録である古今名物類聚(ここんめいぶつるいじゅう)
名物裂とは、鎌倉時代から江戸時代初期にかけて主に中国やインド、ベルシャや東南アジアから渡来した絹織物の呼び名のひとつです。
「茶の湯」において、使用される茶器は、大名物、中興名物、名物などと価値の順位付けがされていました。
名のある「名物」は大事に扱われるため、その茶道具の価値によってその包みとなる織物も同様に重要視され、「名物裂」としてもてはやされていました。
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『古今名物類聚』は、全十八巻で、中興名物、大名物、後釜国焼、天目茶碗、楽焼茶碗、雑記、拾遺、名物切(裂)の八部から成り立っています。
名物切(裂)の部分には、金襴五十二、緞子三十、間道十四、雑載として錦、紗金(金紗)など十二の計108件が挙げられています。
茶器を納める袋や名画、名筆を飾る裂(布)が鑑賞の対象として尊重されていることが、本書からうかがえます。