江戸時代前期頃の京都の呉服商である雁金屋は、画家として有名な尾形光琳や尾形乾山の生家です。
尾形光琳は日本画家として数々の有名な作品を残しており、例えば国宝の「燕子花図」は、江戸時代のみならず、日本の絵画史全体を代表する作品としても知られています。
呉服商である雁金屋(かりがねや)
雁金屋は、尾形光琳の曾祖父である尾形道柏が淀君(淀殿)らを顧客とし、高級呉服商の基礎を築きました。
光琳や乾山の父親である尾形宗謙(1621〜1687)の代には、徳川家の御用商として、江戸幕府の第2代将軍徳川秀忠(1579年〜1632年)の夫人や徳川家康の内孫である東福門院(1607年〜1678年)らの呉服を扱って栄えました。
雁金屋衣裳注文帳(かりがねやいしょうちゅうもんちょう)
雁金屋が扱った「雁金屋衣裳注文帳」は、主として徳川家に関係する呉服注文書、および図案帳に関するものです。
慶長7年(1602年)から延宝6年(1678年)まで各種が現存しているため、当時を知る貴重な資料となっています。
雁金屋衣裳注文帳の中でも、東福門院(秀忠の女和子、後水尾天皇の中宮)に関する注文書(元和9年・延宝6年)と図案帳(万治4年・寛文3年)は、当時の染織を知る上で貴重な資料となっています。
雁金屋呉服関係文書(かりがねやごふくかんけいもんじょ)
雁金屋呉服関係文書は、雁金屋に残っていた注文台帳、および支払い関係の文書です。
尾形光琳の子・寿市郎の養子先であった小西家に伝わったので、「小西家文書」とも言います。
主なものは、御染地元帳(慶長7年、8年)・売物日記・雁金屋受取控(慶長9年〜17年)・徳川秀忠大奥支払書(慶長19年〜元和9年)・同大奥紅花支払書(寛永元年〜3年)・後藤縫丞呉服注文書・衣裳図案帳(万治4年〜寛文3年)・東福門院御用呉服書上帳(延宝6年)などがあります。
安土桃山時代から江戸時代前期の高級呉服の色や文様(模様)、材質、技法、寸法、染賃などを知る貴重な資料です。