「寿」という漢字は、長寿を意味し、瑞祥(めでたいことが起こるという前兆)を表します。
デザインにおける寿字文(じゅじもん)
「寿」をはじめ「福」や「吉」など、吉祥文字(縁起がいい漢字)と言われる字には数多くの種類があります。
中国では、古代から「寿」の字が模様化(文様化)されてきました。
長寿を祝う中国の伝統的な吉祥文字図である「百寿図」には、100種類の書体で「寿」の字を書いたものが並べられています。
「百寿図」において模様化(文様化)された「寿」の字は、字画にとらわれず、簡略化したり、添付されたりと独創性のあるアレンジが加えられています。

「寿」の字を模様化(文様化)したもの,Digital file creation, see the contributor names shown in the “User” column of the “File history” section below., Public domain, via Wikimedia Commons,Link
吉祥文字に対する思想は、中国から日本にもしっかりと伝わり、文字を模様化(文様化)してデザインにも取り入れられてきました。
寿の字を円形にデザインしたものを「円寿字文」と言い、染め模様(文様)などのデザインにも用いられてきました。
江戸時代後期には、歌舞伎文様である菊寿染(菊の花と寿の字とを交互に染め出した柄)や、寿の字海老(寿の文字を海老で表した柄)が流行していました。