一斤染(いっきんぞめ/いっこんぞめ)とは?紅花で染められた淡い色合い


紅花べにばな(学名:Carthamus tinctorius)は、キク科ベニバナ属で花弁かべんを植物染料にします。

秋に種をまいて、冬を越して春になってから開花、結実してから枯れる越年草えつねんそう(二年草)として生育したり、寒い地域では一年草として春早い時期に種をまく場合もあります。

紅色の染料としての用途のみならず、食用油の原料としても栽培されています。

紅花,Carthamus tinctorius 050709b

紅花,Carthamus tinctorius,Pseudoanas, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

一斤染(いっきんぞめ/いっこんぞめ)とは?

紅花染は、非常に退色しやすいという特徴があります。

紅花で薄色を染める場合は色落ちしやすく、紅花に含まれる紅色素の量も非常に少ないため、できる限り何回も染め重ねて堅牢度けんろうどを高くしていくことが基本となります。

紅花べにばなで染めた淡い色合いが、一斤染いっきんぞめ(いっこんぞめ)と言われていました。

一斤染いっきんという名前の由来としては、紅花べにばな一斤いっきん(180もんめ・約675g)で、絹織物の2反分(一匹いっぴき・疋)を染めたものという意味でこの名前があります。

延喜式えんぎしき」の「中紅花なかのべに」色の程度の淡い紅色べにいろで、「桃花色ももいろ」よりはやや淡く、「桜色」よりやや濃い程度の色が一斤染いっきんで染めた色合いとなります。

紅花で染めた色合いで、最も濃い色を「韓紅花からくれない」と呼び、もっとも淡い色を「退紅たいこう」などと呼ばれます。

延喜式えんぎしき」の韓紅花からくれないは、綾一匹(約360もんめ・1350g)に紅花10きんが使われています。

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