瓢箪は、古くから実用品として水や酒を入れる容器として用いられてきました。
瓢箪は末広がりの形状をしているため、縁起が良いものとされ、独特のくびれた実の形のおもしろさから、「瓢箪文」として古くから文様(模様)表現としても人々に親しまれてきました。
デザインにおける瓢箪文(ひょうたんもん)

瓢箪文(ひょうたんもん)と扇文(扇模様)が彫られた伊勢型紙
瓢箪の模様表現としては、戦国武将が家紋や旗印に用いていたことで知られています。
豊臣秀吉は、戦のときに自分の居場所を明示するための馬印(軍旗)に瓢箪を使用していました。
豊臣秀吉の馬印は「千成瓢箪」などと呼ばれますが、戦に勝つごとに馬印に新たに瓢箪を1つずつ足していった結果、最終的には1000個にもなったという伝説からこのように呼ばれていました。
瓢箪文(ひょうたんもん)の特徴
瓢箪文は、くびれた形が基本的なデザインで、連続模様として表現されたり、複数の瓢箪が組み合わされるパターンもあります。
家紋として多様なデザインがあり、着物や帯などの染織品や陶磁器や漆器などの工芸品などにも描かれてきました。
滝の水がお酒になったという「養老の滝」の物語を表現するために、滝と瓢箪が表現されたり、「瓢箪鯰」という表現(とらえどころのない様を表す)から、鯰とともに描かれたりします。
また、『宇治拾遺物語』に入る説話である「腰折雀」の話から、と雀とセットで描かれるなど、瓢箪の縁起の良さからさまざまなデザインに用いられてきました。
江戸時代に製作された「法被縹地檜垣瓢箪模様」には、躍動感のある瓢箪が表現されています。
縁起の良い瓢箪(ひょうたん)
豊臣秀吉の「千成瓢箪」にちなんで出世や勝利、繁栄の象徴とされたり、6つ瓢箪が揃うと「六瓢息災」であるという語呂合わせから「無病息災」の縁起物として扱われてきました。
また、一つのツルから多くの実がなり、種子もたくさん入っていることから、「子孫繁栄」の象徴ともされています。