矢を構えて獲物を狙う姿を描いた文様である「狩猟文」は、古くから世界中で用いられてきました。
狩猟の光景を文様化したデザインである狩猟文(しゅりょうもん)
狩猟文には、立ち姿や馬に乗っている姿などが描かれます。
狩猟文の歴史は古く、中国では戦国時代に作られた銀壺に用いられたり、西アジアのアリッシア(現在のイラク北部を占める地域)では写実的な表現で、馬車から振り返って弓を射る姿などが描かれました。
日本においても、古墳時代の銅鐸に、猪(イノシシ)や鹿のような動物を射る人物が描かれます。
狩猟文の中で非常に優れているデザインに獅子狩文があり、ササン朝ペルシャ(226年〜651年)を起源として各地に影響を与えたとされます。
奈良の正倉院に所蔵される正倉院裂の中には、狩猟文が描かれている布があります。
例えば、「緑地狩猟連珠唐草円文錦」には、馬に乗って猟をしている様子がみられます。