菱形の模様(文様)は、古代より世界中で用いられた原初的なデザインです。
菱文ともいいますが、菱形を基本形として数々の模様(文様)が装飾的に表現されました。
目次
デザインにおける菱形(ひしがた)・菱文(ひしもん)

伊勢型紙,菱形(菱文),小葵文
日本においては、古く飛鳥時代や奈良時代における羅や綾において菱形の織り模様(織文)があります。
これは、中国の漢代における遺品と同じ種類で、中国伝来の織りの技法とされています。
平安時代には公家の服飾に多く用いられ、菱形(菱文)は有職文様のひとつです。
有職文様とは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)のことです。
菱文バリエーションは非常に多く、菱を四つ組み合わせた四菱、内側に二重三重に入れ込んだ入子菱、配置の粗密による遠菱・繁菱、立菱や幸菱、山形文と組み合わせた山菱などがあります。
花(花菱)や蝶(向蝶菱)、鳥や鶴などの動植物などを菱形に図案化したものも多く、織りの模様(織文)や紋章にもさまざま表現されています。

伊勢型紙,菱形(菱文),小葵文
大内菱(おおうちびし)
元禄(1688年〜1704年)の頃に流行した染文様の一つで、二重菱の内側に菱形に花を配した模様(文様)です。
繁菱文(しげびしもん)

繁菱文(しげひしもん),菱文,伊勢型紙
繁菱文は、菱形を四つずつ並べた単位文様(一パターン)を互いに隣接して密に詰めた模様です。
菱花文(ひしはなもん)
唐花やその他さまざまな花を集め、菱形に構成した模様(文様)を菱花文と呼びます。
正倉院宝物として保存されている正倉院裂のうち、錦の副文などに見られます。
例えば、正倉院裂の「紫地蓮唐花文錦」は、紫色錦の裂地で、主文は同心円状に花弁や側面形の花文を重ね合わせたにも複合花文で、副文は菱形花文で構成されています。
その他、「赤地双竜円文綾」や「紫地錦几褥」、「白地唐花文錦」、「花氈 第15号」など、さまざまな染織品が残っています。
幸菱文(さいわいびしもん)
幸菱文は、「千剣菱」ともいい、菱形の四弁花が四つ、または多数集まり、大きな菱形が作られる模様です。
この菱形を繋ぐために小さな菱形を各頂点に配し、この時に菱形の先が合うので「先合菱」という名前があり、この名前が転じて「幸菱」と呼ばれるようになったとされます。
織物における菱形・菱文
菱綾(ひしあや)
菱形に綾織されたものを菱綾や菱織などといい、足袋底用に多く用いられました。
菱絣(ひしがすり)
絣の柄の一つで、緯糸で菱形を表現します。
形によって、角菱や丸菱、平菱などの名称があり、連続した模様(文様)形式がほとんどです。