ファッション・服飾におけるガゼット(gusset)とは、着心地をよくしたり、布を補強するために衣服や手袋、靴などに挟み込んだり、継ぎ足すようにして付ける長方形や台形、三角形の布や革を表します。
目次
ガゼット(gusset)の意味
ガゼット(gusset)には、①襠②台形の三角のきれ③当てぎれ、などの意味があります。
ガゼット(gusset)の語源としては、古フランス語の「gousse=莢、殻」に古フランス語の「gousset=襠」が入ったものです。
もともとは、鎧の脇下などのすき間を補うために鎧下につけた鎖片を表しましたが、それに似た形や機能の襠も指すようになりました。
作業服などに見られるパッチポケット(patch pocket)で、収納量を大きくするために襠を入れたものは「襠ポケット」や「ガゼットポケット」などと言います。
ガゼットショルダー(gusset shoulder)
肩先にガゼット(襠)を入れたものを「ガゼットショルダー(gusset shoulder)」と言います。
装飾性を高めたり、動きやすさを増やすためにつけられます。
シャツにおけるガゼット
シャツにおけるガゼットの場合、裾の前身と後身が合わさった部分が破れやすいため、ガゼットをつけることが多くありました。
現代では縫製技術の進歩によって、必ず必要というわけではありませんが、わざわざガゼットをシャツに付けることで、堅牢(しっかりとした)な縫製であるということをアピールすることができます。
スウェット(トレーナー)におけるVガゼット
スウェットやトレーナーなどの胸元にV字の縫い目があるものを、「Vガゼット」と呼んだりします。
生地の縮み防止や耐久力の向上を目的に、逆三角形の生地(V字状のガゼット)が首元に貼り付けられたのです。
編み地(ニット)のカットソーは、たくさん着用し、洗濯を重ねていくうちに、首元が型崩れを起こして伸びてしまうことがあります。
編み地(ニット生地)は外部からの負荷によって布帛(織られた生地)よりも伸びやすいため、負荷を軽減するために、伸縮性のある生地をはめこむことで、補強を行なっていたのです。
布や革で衣服を補強する方法
布や革で部分的に衣服を補強することは、さまざまな形で行われてきました。
肘当て(ひじあて)やエルボーパッチ(elbow patch)と呼ばれるものは、肘がよく擦れてしまうような仕事をする時に、傷がついて布がすり切れるのを防ぐため、補強の意味で縫い付けた別布や革を指したものです。
ほかにも、狩猟する人や兵士が、銃床(銃のパーツの1つで、肩に当てる部品)を当てる右前肩を補強する「ガンパッチ(ショルダーパッチ)」や、乗馬するために履くズボンのお尻部分を補強する「シートパッチ」、作業用のズボンの膝部分を補強する「ニーパッチ」などがあります。
関連記事:ファッション・服飾における肘当て(ひじあて)・エルボーパッチ(elbow patch)。布や革で衣服を補強する方法について