染色に地入れはなぜ必要なのか?

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染色工程の中で行われる「地入れ(じいれ)」は、染める前に布へほどこす重要な下準備です。

一見すると地味な工程ですが、染め上がりの美しさや安定性を大きく左右する役割を担っています。

地入れの主な目的は、ムラ染めを防ぎ、染料の動きをコントロールして均一に染め上げることにあります。

特に引き染めのように刷毛はけで染料を引いていく技法では、地入れの有無が仕上がりに直結します。

地入れの主な目的

豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

豆汁(ごじる),呉汁(ごじる)

染料の急激な浸透・拡散を調整する

地入れ液には、豆汁(ごじる)などのタンパク質成分が主に用いられますが、地入れを行うと、布の表面はごく薄い糊状の層で覆われます。

これにより、染料が一気に布に浸透したり、多方面に拡散するのを防ぐことができます。

また、生地表面の凹凸部分への染料の付着量が均一になり、ムラが出にくくなります。

染料と布との結びつきを強める

豆汁(ごじる)などのタンパク質成分は、染料と結びつくための足場となり、染料の定着を助けます。

その結果、布への染料の付着量が増え、色に深みが生まれ濃色を表現することができます。

模様染めにおける地入れの役割

模様染めの場合、地入れをほどこすことで、模様部分に置かれた防染糊が再び湿り、生地の繊維内部へ深く食い込みます。

これにより、防染部分の防水性が高まり、引き染め時に染料が染み込みにくくなります。

その結果、模様の輪郭がにじまず、よりくっきりと美しく仕上がります。

地入れは、こうした防染処理をさらに安定させる補強の意味も持っています。

また、地入れに使われた糊は、引き染めの際に染料液によって徐々に再溶解し、染料の粘性をだんだんと高めます。

これにより、乾燥中の染料の移動が抑えられ、全体が均一に染まりやすくなります。

地入れ後に注意すべき点

引き染めが終わった後は、蒸しによって染料を定着させますが、地入れに使用した糊は水洗いによって除去する必要があります。

ただし、豆汁などのタンパク質成分は、蒸熱や経年変化によって凝固し、不溶性となるため、生地に残りやすくなります。

そのため、豆汁の濃度が高すぎると生地が硬くなったり、特に絹では風合いを損ねたりすることがあるため注意が必要です。

目的や仕上がりに応じて、地入れの配合や方法を調整することが重要なのです。

まとめ

地入れは単なる下処理ではなく、染料の動きを制御し、色の深みを引き出し、模様を美しく際立たせるための重要な工程です。

一見すると目立たない工程ですが、地入れの出来が最終的な染めの完成度を大きく左右するとも言えます。

筒描きや型染めなど、線や輪郭を重視する技法において、地入れは欠かせない工程なのです。

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