シルクの染織品はもともと毛羽があったり、擦ると毛羽立ちやすいとも言われます。
シルクの欠点として、羽毛状の繊維が混じる「ラウジネス」と、濡れた状態で擦ると毛羽立ちやすく擦れやすい点があります。
ラウジネスが多く出ている糸や布は、毛玉(ピリング)のようにもみえます。
シラミ(虱)が這い回ったように白けて見えるので、この現象をラウジネス(lousiness)と言い、語源はシラミ(louse)に由来しています。
シルクのラウジネス
シルクを顕微鏡で拡大してみると、正常なフィブロイン繊維に混じって、分裂、あるいは遊離した細い繊維が羽毛状か塊状となっているのが見られます。
この細い繊維は、正常なフィブロイン繊維と同じ成分の絹タンパク質からできており、極端に多くなると布や糸の表面で光が散乱して白けてみえます。
この現象はシルク特有のもので、精錬前の生の状態ではわかりませんが、先練り(さきねり)・先染めの染め物で目立ちやすく、染色して初めて識別できます。
ラウジネスが起こる原因は、蚕(カイコ)の品種によって表れ方が違うとか、蚕が繭をつくるときの環境が高温多湿であると生じやすいなどとも言われてきたようです。
シルクの精錬や染色の段階では水を介して擦る作用があるため、シルクを加工する際にはスレやラウジネスのような現象が起こる可能性があります。
シルクの藍染めにおけるラウジネスとスレ
ラウジネス現象とスレに関しては、決定的な改善点がないため、スレないように最善をつくして染色作業をするしかありません。
藍染であれば、発酵させてから時間が経ち染まりが悪い状態の藍でシルクを染色すると、回数を染める必要があり繊維を傷めるリスクが高くなり、また色合いもくすんだようなものになります。
そのため、シルク素材を藍染する際は、できるだけ発酵させたばかりの一番染まりの良いタイミングで染色するのがポイントとなってきます。
シルクが持つ素材的な特性とも言えますが、素材選びの段階から試し染めをしてみて、スレやラウジネスが起こりにくいものを選ぶというのも一つの手と言えます。
【参考文献】『月刊染織α1991年9月No.126』