小葵地桐竹鳳凰文二重織物表着

デザインにおける桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)


桐竹鳳凰文きりたけほうおうもんは、有職文様ゆうそくもんようの一つで、洲浜に生い立つきりと竹に飛翔する鳳凰ほうおうがデザインされた模様(文様)です。

有職文様ゆうそくもんようとは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車よしゃ、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)です。

鳳凰ほうおう(Chinese phoenix)は、中国統治した五帝の最初の聖帝とされる黄帝こうていが、南苑なんえんで祭りをしたときに現れたとされる幻獣です。

鳳凰(ほうおう),Chinese phoenix,Fenghuang-drawing-1664

鳳凰(ほうおう),Chinese phoenix,J.J. van Waesberge, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

鳳凰ほうおうは、中国神話に現れる伝説上の動物である麒麟きりんと同じように、王の治世がうまくいき、天下が平和である時に出現するとされたことから、天下の象徴や善政ぜんせいの世の中のシンボルとされていました。

鳳凰ほうおうは、桐の樹木に棲みつき、竹の実を食べるとされて、これに由来して鳳凰がきりと竹と結びつき、「桐竹鳳凰文きりたけほうおうもん」として模様化(文様化)されました。

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デザインにおける桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)

桐竹鳳凰文きりたけほうおうもんは、平安時代中期に始まり、平安時代末期から鎌倉時代にかけては「麒麟きりん」も加えられました。

天皇が着用するほうのみに、桐竹鳳凰文きりたけほうおうもんが用いられました。

愛知県の熱田神宮に伝わる室町時代(15世紀)に作られたとされる女子の表着うわぎ萌黄小葵地桐竹鳳凰文二重織」は、桐竹鳳凰文きりたけほうおうもんの古様を伝えるものとして貴重な資料となっています。

参照:熱田神宮 宝物館

萌黄色の地に小葵文こあおいもんをあらわし、さらにその上に桐・竹・鳳凰の文様を紫と黄の糸で表した装束です。

参照:「表着(模造)萌黄地小葵桐竹鳳凰模様二陪織物もえぎじこあおいきりたけほうおうもようふたえおりもの」高田義男(作)昭和11年(1936年)、原品:室町時代・15世紀


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