桐竹鳳凰文は、有職文様の一つで、洲浜に生い立つ桐と竹に飛翔する鳳凰がデザインされた模様(文様)です。
有職文様とは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)です。
鳳凰(Chinese phoenix)は、中国統治した五帝の最初の聖帝とされる黄帝が、南苑で祭りをしたときに現れたとされる幻獣です。
鳳凰は、中国神話に現れる伝説上の動物である麒麟と同じように、王の治世がうまくいき、天下が平和である時に出現するとされたことから、天下の象徴や善政の世の中のシンボルとされていました。
鳳凰は、桐の樹木に棲みつき、竹の実を食べるとされて、これに由来して鳳凰が桐と竹と結びつき、「桐竹鳳凰文」として模様化(文様化)されました。
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デザインにおける桐竹鳳凰文(きりたけほうおうもん)
桐竹鳳凰文は、平安時代中期に始まり、平安時代末期から鎌倉時代にかけては「麒麟」も加えられました。
天皇が着用する袍のみに、桐竹鳳凰文が用いられました。
愛知県の熱田神宮に伝わる室町時代(15世紀)に作られたとされる女子の表着「萌黄小葵地桐竹鳳凰文二重織」は、桐竹鳳凰文の古様を伝えるものとして貴重な資料となっています。
参照:熱田神宮 宝物館
萌黄色の地に小葵文をあらわし、さらにその上に桐・竹・鳳凰の文様を紫と黄の糸で表した装束です。
参照:「表着(模造)萌黄地小葵桐竹鳳凰模様二陪織物」高田義男(作)昭和11年(1936年)、原品:室町時代・15世紀