デザインにおける迦陵頻伽文(かりょうびんがもん)


迦陵頻伽かりょうびんがとは、梵語ぼんご(サンスクリット語)のカラビンガ(kalavinka)の音訳で、仏教における想像上の霊鳥を表します。

デザインにおける迦陵頻伽文(かりょうびんがもん)

金銅華鬘(迦陵頻伽文)6枚のうち、上部の鐶が残る1枚(岩手県西磐井郡平泉町中尊寺金色院)平安時代(12世紀)の作。国宝。Gilt-bronze Keman with Kalavinka design (Chuson-ji Konjikido)2

金銅華鬘(迦陵頻伽文)6枚のうち、上部の鐶が残る1枚(岩手県西磐井郡平泉町中尊寺金色院)平安時代(12世紀)の作。国宝。,齋藤隆三、柴田常恵, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

大乗仏教だいじょうぶっきょうの聖典の一つである『阿弥陀経あみだきょう』では、極楽浄土の鳥とされ、「若空無我常楽我浄(にゃく・くう・むが、じょう・らく・が・じょう)」を説くといいます。

諸仏の浄土を描いた「浄土曼荼羅じょうどまんだら」では、上半身が美しい菩薩ぼさつの姿で、両翼を広げ、下半身には鳳凰ほうおうがかたどられています。

日本では、正倉院宝物しょうそういんほうもつの「螺鈿紫檀五絃琵琶らでんしたんのごげんびわ」のそうや「漆金箔絵盤うるしきんぱくえのば」に見られます。

螺鈿紫檀五絃琵琶らでんしたんのごげんびわ」は、国家珍宝帳記載の楽器で、頭部が折れ曲がらない直頸ちょっけい形式で、螺鈿らでん玳瑁たいまい宝相華文ほうそうげもんが特徴的です。

宝相華文ほうそうげもんつるの間地には、「迦陵頻伽かりょうびんが」が描かれています。

漆金箔絵盤うるしきんぱくえのば」は、はすの花をかたどった香炉こうろの台で、花びらには金箔きんぱくや多彩な顔料を用いて鴛鴦おしどりや獅子など、種々の模様(文様もんよう)が描かれています。

平安時代の延喜えんぎ19年(919年)に作られた、仁和寺にんなじ所蔵の国宝「宝相華迦陵頻伽蒔絵冊子箱ほうそうげかりょうびんがまきえそくさっしばこ」には、金銀蒔絵の宝相華文の各所に迦陵頻伽かりょうびんがが舞っています。

京都の東寺とうじに伝来した牛皮製の華鬘けまんである「牛皮華鬘ごひけまん」には、宝相華唐草ほうそうげからくさを背景に彫り出した極彩色の迦陵頻伽かりょうびんががデザインされています。

岩手県の中尊寺金色堂ちゅうそんじこんじきどうが所蔵する国宝である「金銅迦陵頻伽文華鬘こんどうかりょうびんがもんけまん」にも、透かし彫り(金属をくり抜く技法)で迦陵頻伽かりょうびんがが表現されています。


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