デザインにおける荷花文(かかもん)・蓮(はす)の花


はす(学名Nelumbo nucifera)は、ハス科ハス属の耐寒性たいかんせい落葉多年草らくようたねんそうの水生植物です。

はすは、インドやその周辺地域が原産地とされ、世界中の熱帯や温帯地域の蓮田はすだ、泥沼、池、水田で栽培されています。

荷花文かかもん(荷花模様)の荷花かかはすの花を意味し、中国では夏の象徴として知られています。

英名ではロータス(Lotus)と呼ばれ、大きな葉を乾燥させたものは漢方薬の「荷葉かよう」の原料となります。

デザインにおける荷花文(かかもん)・蓮(はす)の花

蓮(はす),Nelumbo nucifera

蓮(はす),Nelumbo nucifera,Shin-改, Public domain, via Wikimedia Commons,Link

蓮華れんげという言葉は、はす睡蓮すいれんを表し、仏教の伝来ととも中国から伝えられたものです。

はす」や「睡蓮すいれん」は、古来より仏の悟りをあらわすとして尊ばれ、お寺に安置されている主要な仏様は、蓮華の形を模した蓮華座れんげざ鎮座ちんざしています。

蓮の花は、泥の中で茎をのばしながら育ち、そして綺麗な花を咲かせます。

南無妙法蓮華経なむみょうほうれんげきょう」という世の中の真理を蓮の花に例えて説いた仏教の教えは、蓮の花のように清浄と不浄が混沌と存在する世の中から悟りを見出すことを教えとしています。

そのため仏教において蓮の花は非常に重要視され、シンボルのようにもなっているため、荷花文かかもんは仏教に関連したものに多く用いられてきた模様(文様)です。

鎌倉時代の13世紀ごろに作られたとされる「胎蔵界曼荼羅たいぞうかいまんだら(絹本著色両界曼荼羅)」は、曼荼羅まんだらの一種で、表現されている図には八葉蓮華はちようのれんげ(花弁が8葉ある蓮華)を中心に描いて生成の世界がかたどられています。

染色と蓮(はす)

奈良時代(710年〜784年)には、装潢師そうこうしという人々が、書物を書き写すために使う和紙の染色や紙継ぎなどを職業としていましたが、染紙を染めた材料については「正倉院文書しょうそういんもんじょ」に記されており、蓮葉はすはの名前が付く色紙も含まれています。

蓮葉はすは染紙」として「正倉院文書しょうそういんもんじょ」に記されており、紙を染めていたとすれば、布や糸なども染めていた可能性が大きくあります。

わざわざはすを使用して染色していた理由を考えてみると、やはり仏教において重要な植物であるはすを用いて身の回りのものを染めてみるという思考に至るのは必然であったのでしょう。

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