丸を表現した円は、完全と統一を示し、無限への発展を意味します。
円は、日輪(太陽の異称)の象徴ともされ、信仰の対象としても描かれました。
デザインにおける円模様(円文)
丸を表現した円模様は、「円文」とも呼ばれます。
円文は、人類が図形を表現してきたなかで最も原始的なものの一つであり、さまざまな民族においても古代から描かれてきました。
古代中国の青銅器や古代エジプトの遺産には、円文がデザインされ、日本においても装飾古墳や埴輪に円や同心円が描かれています。
染織品における円文
染織品においては、ササン朝ペルシャを中心に、中国や日本に影響を与えた珠辺文や連珠文があり、これは円を帯状につないで縁どり風に用いたり、大きな円を作る模様(文様)構成です。
円文繋ぎによる文様構成は、5〜6世紀のコプト織にも多く用いられています。
数々の模様(文様)を円形の中にはめ込んだり、円形に図形化することは服飾模様(文様)に多く、日本においては有職文様や紋章にも多く表現されています。
有職文様とは、平安時代以降の公家社会において装束や調度、輿車、建築などに用いられた伝統的な模様(文様)のことです
例えば、花や折枝などの植物、鳥や蝶などの動物、風景などをすべて円文にまとめ上げられます。
洋服のデザインにおいて、もっとも普遍的なものの一つである水玉文も円文の変化と考えられます。