勾玉を二つ、または三つ円形に組み合わせた文様(模様)を巴文と言います。
巴文は、一般的には調度品や武具、瓦当、家紋などに多く用いられてきました。
デザインにおける巴文(ともえもん)
日本では、勾玉が三つ円形に組み合わされた三巴文が好まれ、平安時代以来多く用いられてきました。
衣服における模様としては、平安時代末期の絵巻物である「伴大納言絵詞」の中で、男子の衣服に見られます。
江戸時代初期に描かれた風俗図屏風である「婦女遊楽図屏風(松浦屏風)」の小袖にも見られます。
沖縄の尚王家では、巴文が家紋として用いられていたため、巴文が描かれた染織品も多く作られました。
巴文の起源
巴文の起源や名称の由来は、はっきりとはしていません。
現在は、「巴」の字が当てられていますが、本来は「鞆絵」の説があり、弓を射る時に、左手首につける革製の道具の鞆の形に似ているためとされます。
また、一説には「巴」の字の形態から、ものの回るさまを表し、水の渦巻く状態を文様化したものとも言われます。
巴文のような柄は、古代中国や南ロシア、スペインのバスク地方の遺物にも同じようなものがみられているようです。