デザインにおける車前草(おおばこ)


車前草おおばこ(学名:Plantago asiatica)は、日本各地の道端や野原などでよく見つけることができる多年草で、地面から葉を放射状に出して、真ん中から花穂をつけた茎が数本立ちます。

和名では「大葉子」とも表し、これは葉の大きいことに由来します。

車前草(おおばこ),Plantago major subsp. major kz02

車前草(おおばこ),Krzysztof Ziarnek, Kenraiz, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

漢名では「車前草(しゃぜんそう)」、種子を「車前子(しゃぜんし)」と言います。

種子は水気を帯びると体積が増え、粘着性を帯びて人間や車輪などに付着して広がっていき、車や人がよく通った跡(わだち)に沿って自生することから、「車前草」と名づけられたという説があります。

しかし、経尊きょうそんによって鎌倉時代に作られた語源辞書である『名語記みょうごき』(1268年)には、古代インドの名医で釈迦しゃかの弟子の一人である耆婆ぎばが、良薬である車前草おおばこを車の前板に植え、出行の際に食べたことによると記されているようなので、由来ははっきりとはしていません。

デザインにおける車前草(おおばこ)

田村車前草紋(たむらけおおばこもん)Kamon Tamura

田村車前草紋(たむらけおおばこもん),Fraxinus2, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

これが雑草の代表的な存在の一つとも言える車前草おおばこですが、古くから薬用として利尿や鎮咳ちんがいせきを止めるための薬)、健腸けんちょうなどに使用されてきました。

夏には葉の間から花茎かけいを出し、白色の小花を穂状につけます。

車前草おおばこは、特別風情のある草というわけではありませんが、自然で素朴な感じ(野趣やしゅ)に富んだ模様(文様)として用いられました。

紋章においても、車前草紋おおばこもんとして使用されていました。


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