車前草(学名:Plantago asiatica)は、日本各地の道端や野原などでよく見つけることができる多年草で、地面から葉を放射状に出して、真ん中から花穂をつけた茎が数本立ちます。
和名では「大葉子」とも表し、これは葉の大きいことに由来します。
漢名では「車前草(しゃぜんそう)」、種子を「車前子(しゃぜんし)」と言います。
種子は水気を帯びると体積が増え、粘着性を帯びて人間や車輪などに付着して広がっていき、車や人がよく通った跡(轍)に沿って自生することから、「車前草」と名づけられたという説があります。
しかし、経尊によって鎌倉時代に作られた語源辞書である『名語記』(1268年)には、古代インドの名医で釈迦の弟子の一人である耆婆が、良薬である車前草を車の前板に植え、出行の際に食べたことによると記されているようなので、由来ははっきりとはしていません。
デザインにおける車前草(おおばこ)
これが雑草の代表的な存在の一つとも言える車前草ですが、古くから薬用として利尿や鎮咳(咳を止めるための薬)、健腸などに使用されてきました。
夏には葉の間から花茎を出し、白色の小花を穂状につけます。
車前草は、特別風情のある草というわけではありませんが、自然で素朴な感じ(野趣)に富んだ模様(文様)として用いられました。
紋章においても、車前草紋として使用されていました。