メギ(学名:Berberis thunbergii)は、山地の落葉樹林に生える落葉小低木です。
和名の目木由来としては、枝や根を煎じたものは黄色になり、洗目薬として目の病気に使用されたことから名付けられたとされます。
メギ(目木)の生薬名は小蘗といい、薬用のみならず、染色にも用いられてきました。
染色・草木染めにおけるメギ(目木)
メギ(目木)は、樹高が約1メートルほどに成長し、比較的暖かい地域に自生します。
葉は倒卵形(卵を逆さにしたような上が太く下の方が細くなった形)で、長さが1cm〜2cmで先端は丸くなっており、枝には、葉が退化したトゲが鋭く出ています。
目木は、小鳥も枝に止まれないほど鋭いトゲがあることから、別名で「コトリトマラズ(小鳥不止)」や「コトリスワラズ」とも呼ばれます。
また、トゲが鎧を通すので「ヨロイドオシ」とも呼ばれたようです。
4月〜5月の春に、新葉と共に短枝に白黄色の小さい花が数個下向きに咲き、秋には果実が赤く熟します。
小蘗(しょうばく)を利用した黄染
11月頃に、葉が落ちてから根ごと採取して、小枝やトゲ、ひげ根を洗い落として刻んで日干しにして乾燥させたものが、小蘗と呼ばれる生薬になります。
黄色の染料として有名な黄檗(おうばく)に対して、同じように黄色の皮で黄色を染める小さい木(小さい黄檗)なので、「小蘗(しょうばく)」の名前があるとされます。
小蘗を煎じた液が黄色くなるのは、アルカロイドの一種であるベルベリンを含んでいるためで、これは殺菌性や抗菌作用が強いことが知られています。
煎汁は、黄檗(おうばく)と同じように黄色を染める染料として使用できます。
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黄檗(おうばく)にも含まれるベルベリンには、強い苦味とお腹を整える健胃整腸作用があるため、民間薬では、百草丸、正露丸などの原料にも使用されました。
外用薬としては、煎じた液を眼病の際の洗眼に用いたほか、皮の粉末に酢を加えて練ったものが打撲に使用されたりしました。