色や柄の異なる二種類以上の裂を接ぎ合わせて一枚の衣服を仕上げる手法を「切継ぎ」や「裂仕立」、「縫合せ」などといいます。
布の接ぎ合わせ方には、布目を合わせて細かく返し針で縫っていく方法や、つなぎ合わせる部分に別の布を細かく挟んでパイピングのようにする方法などがあります。
布の切継ぎ(きりつぎ)・裂仕立・縫合せ
切継ぎは、布の不足を補ったり、残った裂を有効活用する方法として使用されていましたが、後に布と布との接合部分が模様(文様)構成の手法としても使われるようになります。
例えば、接合部分を松皮菱や雲型などに作り、切継ぎを一つのデザインとして模様(文様)を構成することも行われました。
布の切継ぎにおける代表的な遺品
布の切継ぎにおける代表的な遺品としては、上杉神社(山形県米沢市)が所蔵する「金銀襴緞子等縫合胴服」があります。
参照:上杉謙信らの「服飾類」、修理方針を話し合い…上から覆う布の色合いなど協議
この胴服(羽織の原型)は、中国舶来の金襴・銀襴、緞子、綸子、繻子など、16種もの裂をパッチワークしながら組み合わせた服になっています。
寄裂文様(よせぎれもんよう)を染色で表現
さまざまな布(裂)を「寄」せて1枚の布地にしたもの「寄裂」と言いますが、切継ぎされた寄裂をモチーフとして、あえて染めで模様(文様)表現した更紗や友禅染なども知られています。
寄裂の模様を染めで表現するにあたっては、複数の型紙を用いながら、文様と文様の間に仕切り線があるように表現されることで、単に数種の模様が染め出されているのではなく、異なる布が寄せ集められているようなかたちで表現されます。