『春日権現験記』は、 鎌倉時代の絵巻物で延慶2年(1309年)に、時の左大臣であった西園寺公衡の発案によって描かれました。
絵は、宮廷絵所の長であった高階隆兼によって描かれ、詞は、鷹司基忠とその息子達によって書かれています。
『春日権現験記』は全21巻(うち1巻は目録と序文のみ)で、春日大社に奉納されました。
鎌倉時代後期の生活様式や服装の状態などがわかる『春日権現験記(かすがごんげんけんき)』
『春日権現験記』の特徴としては、大和絵で描かれ、神社や寺院の創建の由来、あるいはその祭神や本尊の霊験を、絵巻物として物語る「社寺縁起絵巻」の代表作とされます。
具体的には、藤原氏一門の繁栄を祈願するために春日明神から受けた加護と霊験をつづった絵巻物で、作成された全巻が現代にも残り、制作者が判明しています。
貴族をはじめ、当時の一般民衆の生活様式や服装、風俗などが細かく描かれており、日本の中世(鎌倉時代後期頃)を知る貴重な歴史的資料とされています。
描かれている人々が着用している染織品からは、当時使用されていた模様(文様)も読み取ることができ、例えば桜の花びらをデザインした桜花文(おうかもん)やバラ(薔薇)の花びらなども描かれています。
平成16年から絵巻を後世に伝えていくため、保存修理が行われ、修理後にまとめられた資料「春日権現験記絵 -甦った鎌倉絵巻の名品」がPDFで公開されています。
興味のある方はぜひ、下記のリンクからご覧ください。