柏(学名:Quercus dentata)は、山野に自生する落葉喬木で、葉は大きく、周辺がギザギザした鋸歯状の波形をしていることが特徴的です。
漢字の表記では、柏のほか、槲や檞の字が当てられることがあります。
デザインにおける柏文(かしわもん)・柏の葉
葉は古代から食器として神事に使用され、神聖視されてきました。
それによって、神紋として、柏の葉がデザインに活用される例が多くあります。
柏の葉の模様(文様)である柏文は、平安時代や鎌倉時代の絵巻物にもみえることからその活用の歴史は古いです。
柏は古くから人々に親しまれてきため、その葉を図案化した家紋は非常に多く、もともとは神事を司る家系から出たものといわれ、現在も神職に多く見られる家紋となっています。
三つ柏は、「柏紋」の一種で、柏の葉を3つ描いた図案の家紋のことですが、日本の家紋のうち、広く用いられている10つの家紋(十大家紋)のひとつに数えられています。
神事に関係する植物など神聖視されていたものは、染色の材料にも用いられてきました。
柏の樹皮や葉には、タンニンやクエルシトリンなどのフラボノイドが含まれており、上村六郎(著)『民族と染色文化』には、樹皮の煎汁を用いて、そのままで褐色、鉄媒染で紺黒色、石灰媒染で黄褐色、ミョウバン媒染で淡黄色に染まり、葉っぱでもほとんど同じような効果が出ると記載されています。
関連記事:染色・草木染めにおける柏・槲・檞(かしわ)。薬用効果や歴史について