唐花(唐花文)とは、現実に存在しているものと、空想上の花を集めて中国で作り上げた花模様(花文)です。
複雑で花弁がたくさんある花文をさまざまな方法で組み合わせ、華やかで美しい花形が構成されます。
唐代に盛んに染織品に用いられ、もともとはインドやペルシャ、ギリシャなどの西方的な要素を強く含み、いわゆる唐草模様と同じようにデザインのモチーフにされました。
デザインにおける唐花(からはな)
正倉院宝物として保存されている正倉院裂の中には、唐花文花氈や唐花文錦などの遺品が多く残っています。
例えば、唐花文花氈には、「花氈 第2号」や「花氈 第11号、「花氈 第20号」など特徴的なデザインの唐花が見られます。
唐花文錦には、「緑地獅子花文錦」や「白地唐花文錦」、「赤地花文錦」など紅地や縹地、紫地、白地、緑地などさまざまです。
大唐花文と呼ばれるものは、唐花の模様構成が一層複雑で、豪華さを増して大形になったものを表します。
唐花文は種類が多いことから、当時いかに流行していたかがよくわかります。
和様化し、日本的な唐花も多く生まれる
中国の唐を中心とするさまざまな様式や文化が飛鳥時代に輸入され、奈良時代を通じて徐々に国風化が進み、平安時代に入って日本的な形として一応の完成が見られます。
参照:和様(わよう)
唐花文も複雑なものから、日本的な形として単調なものへと変化していきます。
唐花繋文や唐花菱文、唐花丸文など、単純なモチーフによるさまざまな変化形が生まれました。
平安時代には、衣服の模様(文様)に唐花が用いられています。
後に唐花家紋となり、「唐花紋」として種類も多いです。