江戸時代に流行した色合いに、柿色があります。
濃柿、薄柿、照柿、紅柿、洒落柿、晒柿、大和柿、本多柿、洗柿、水柿、黒柿など、柿色から派生した色名がさまざま生み出されました。
染色・色合いにおける柿色
江戸時代の柿色には、タンニンを非常に多く含む柿渋だけで染めた色から、柿渋とベンガラ(弁柄)を用いた色、梅の木で濃く染め重ねて、媒染に石灰を使用することで濃い赤茶色などが染められています。
蘇芳などの染料も、赤味を表現するためにも用いられたと考えられます。
色目については、柿色と濃柿は、渋柿の色に近い茶色味の赤色。
照柿と紅柿は柿の実の色のような黄色味のある赤色。
洒落柿、晒柿、洗柿、大和柿、本多柿は、柿色を洗いざらしたような薄い赤茶色で薄柿は、それらよりもやや濃い色。
水柿はやや水色味のある極めて薄い赤茶色。
黒柿は黒味のある柿色と考えられます。
【参考文献】『月刊染織α1989年4月No.97』