染色に使用する道具に、張木と伸子があります。
共に使用する生地の巾に合ったものか、少し大きめのものを選びます。
目次
張木(はりぎ)
張木は布の両端をしっかりと挟み込み、生地をしっかりと張ることができる道具です。
京式張木
京式張木は、京都の染色工場でよく使われてきたもので、針が太く布をしっかりと挟んでくれる特徴があります。
蝶番(ちょうつがい)式張木
蝶番式は、名前の通り蝶番がついています。
蝶番とは、開き戸や家具、建具などを自由に開閉するために取り付ける金具で、張木の場合も布の挟みこみが簡単です。
針が細く、小刻みに並んでいるため、布をやさしく扱いたい時には、京式張木ではなく蝶番式が適しています。
比較的便利で使いやすいのも、蝶番式の張木と言えます。
伸子(しんし)
伸子は竹でできていて、竹の持つ弾力性が布をしっかりと張るのに適しています。
先っぽに針がついていて、その針で布を引っ掛けてピンと張るのです。
布の幅や厚みに応じて適した長さの伸子を使用し、布を張る一本一本の間隔は、布のたるみ具合に合わせて調節します。
友禅に使用された友禅伸子は、比較的太いので、古くは火であぶって適度な反りを入れてから使用しする場合がありました。
布の幅に対する張木、伸子の大きさ
張木と伸子は、布の幅によって呼び方とサイズがさまざまあります。
張木の大きさ
現在、田中直染料店で販売している張木のサイズ(蝶番式)は、以下の通りです。
参照:張木(ステンレス針)
まえ巾(22cm巾用)・・・(税込3,080円)
小巾(約39cm)・・・着尺・帯(税込6,600円)
中巾(約63cm)・・・座ぶとん(税込10,857円)
大巾(約80cm)・・・風呂敷など(税込14,960円)
ヤール巾(約101cm)・・・服地など(税込15,950円)
三巾(121cm)・・・服地など(税込18,700円)
四巾(155cm)・・・服地など(税込28,600円)
伸子の大きさ
現在でも、田中直染料店で販売している伸子のサイズはさまざまです。
一番種類が多いのは着尺巾で、素材に適した伸子を選べます。
21cm×2.2mm(えり巾用)・25cm×2.2mm(まえ巾用)・・・生地巾約19cm対応
着尺用40cm×2.2mm(薄絹用/旧絹張)、40cm×2.4mm(薄絹用/旧間張)、40cm×2.8mm(着物薄地・紬細)、40cm×3mm(着物標準・紬中)、40cm×3.3mm(着物厚地・紬太)・・・生地巾約36~37cmに対応
着尺用42cm×2.8mm(38cm巾着物薄地)、42cm×3.3mm(38cm巾着物標準)、42cm×3.9mm(38cm巾着物厚地)・・・生地巾約38~39cmに対応
着尺用44cm×3.9mm(染・細)、44cm×4.5mm(染・中)、44cm×5.4mm(染・太)・・・生地巾約38~40cmに対応
広巾用51cm×4mm(半ヤール用)・・・生地巾約43~45cmに対応
広巾用68cm×3.5mm(中巾用・極細)、68cm×4mm(中巾用・細)、68cm×4.5mm(中巾用・中)・・・生地巾約60~63cmに対応
広巾用83cm×4.5mm(大巾用・中)、83cm×5mm(大巾用・太)・・・生地巾約70~75cmに対応
広巾用102cm×5mm(ヤール巾用・細)、102cm×6mm(ヤール巾用・中)、102cm×7mm(ヤール巾用・太)・・・生地巾約90~92cmに対応
広巾用121cm×7mm(三巾用・細)、121cm×8mm(三巾用・太)・・・生地巾約112~114cmに対応
広巾用130cm×6mm(スカーフ用)・・・生地巾約118~120cmに対応
広巾用140cm×7mm(ストール用)・・・生地巾約128~130cmに対応
広巾用156cm×9mm(四巾用)・・・生地巾約140~145cmに対応
素材や染色技法によっては、大きい巾のものを伸子で染めるのも場合によってはありだとは思いますが、わざわざ伸子を使用しなくても良いことの方が多いと思いますので、やはり一番需要があるのは商品のラインナップからもわかるように、着尺用の伸子なのです。
伸子を扱う技術
伸子は、針で布を刺して固定するので、生地に穴が空きますが、できる限り穴が目立たないように裏面から針を刺したり、捨て布部分をつくったりと染めるものによって工夫はできます。
穴が目立たないように針を刺したり、できるだけムラが出ないように染められるように調整したり、防染糊が流れてしまうリスクを最小限に抑えるような生地の整え方であったりと、伸子を扱う技術に関してだけでも奥が深いのです。