藤(学名Wisteria floribunda)は、日本の固有種で、マメ科フジ属のつる性落葉木本です。
藤の花が咲く時期は4月中旬~5月頃で、葉の展開からやや遅れて開花し、枝の先端に多数の蝶形花を付けた花序が垂れ下がります
藤棚の伸びすぎた枝葉を剪定した時に、その枝葉を染色に利用することもできます。
デザインにおける藤文(ふじもん)
7世紀後半から8世紀後半(奈良時代末期)にかけてに成立したとされる日本に現存する最古の和歌集である『万葉集』には、4,500首以上歌が集められていますが、藤の花を詠んだ歌が25首収められています。
藤の皮の繊維を裂いて織った衣類(藤衣)を詠んだものは2首あり、麻布や、葛布、しな布などの繊維と同じように、古くから実用とされていたことがわかります。
藤棚の伸びすぎた枝葉を剪定した際に出た枝葉は、染色に利用できます。
平安時代には藤の花をながめながら催す宴会である「藤花の宴(とうかのえん)」が盛んに開催され、平安時代の歴史物語である『栄華物語』には、衣服の文様に藤が写実的に描かれたものがあります。
藤を図案化した「藤文」の種類は多く、各時代の染織品の文様に描かれてきました。
能装束には老松に藤が配されたもの、虫籠・棚に藤が配されたもの、蛇が絡み合っている姿に見える藤巴を散らしたようなものなどがあります。
江戸時代後期の振袖には、背面上半身に棚から垂れ下がる藤の花が描かれるものがみられます。
藤丸文(ふじまるもん)
藤の花を円形にデザインした藤丸文は、有職文様として整った形で図案化されていました。
藤の紋章には花を組み合わせて丸文にしたものがほとんどで、その他には一枝の藤を丸文にするなど自由で華麗なデザインもあります。