これまでの日本においては、フォロアー層と呼ばれる「自らがこれといった価値観を持たず、世の中のトレンドに流されやすい中間層」が消費市場において大きな割合を占めていました。
ただ、消費社会が成熟化し、インターネットとスマホの普及にともない、人々の消費における価値観の多様化がますます進んでいます。
消費における価値観は、人それぞれ違いますが、大きく見ると8つに分類できるそうです。『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』によると、世界中のほとんどの国や地域で、だいたい当てはまる分類であるとされています。
本書を引用しながら、消費における価値観を下記に分類しています。
目次
1「ライフスタイル追求」層
音楽やアウトドア、スポーツのように好きなアクティビティや趣味・嗜好がはっきりしており、それらが生活の中心になっている人たちです。
2「消費志向」層
所得が高いため、消費意欲は全般的に高く、よってラグジュアリーに対する消費も8つのセグメントの中で最も多いようです。
3「伝統重視・保守」層
伝統を重んじ、最も保守的な価値観をもつ人たちで、 年齢層は全般的に高く、日本では団塊世代に多いそう。あまり、消費においても「チャレンジ」しない層といえますね。
4「人間・家族重視」層
家族や友人など、自分に近い関係性を大事にするという価値観が中心にあり、中産階級に多い人たちです。モノ・コトに対する優先順位ではレジャーや旅行、スポーツ、パーティなどのコト消費にお金をかける傾向があるようです。
5「社会志向」層
地域や国の社会問題、環境問題などに対して関心が高く、倫理的な価値観が最も強い人たちで、 欧米においては一定数存在しており、市民活動やボランティアなどの社会貢献活動に積極的に参加する層です。
消費性向は高くなく、派手な消費やきらびやかなことを好みませんが、 一方で、社会・環境問題に取り組むブランドに対しては熱狂的な支持と消費を行う傾向があるようです。
近年のトレンドをみると、日本においてもこの層は増えてきているのではないかと感じます。
6「先進・革新志向」層
テクノロジーやイノベーションに対して最もオープンで、先進性や革新性に重きを置いた価値観をもつ人たちです。
ファッションに対してはほとんど関心がなく、彼らのファッションアイコンはスティーブ・ジョブズやマーク・ザッカーバーグだ。
ただし、ファッションもテクノロジー視点で興味をもつため、ZOZOのボディースーツやオリジナルステッチのオーダーメイドシャツなど、テックコミュニティで話題となったトレンドは試してみるという特徴がある。
『2030年アパレルの未来―日本企業が半分になる日』の上記の説明は、イメージがつきやすいですね。
7「快楽主義」層
後先を特に考えず、自分の好きなものを純粋に楽しみ、熱狂することをモットーとする人たちで、スポーツやミュージシャンなどの熱心なサポーターであることが多い。グローバルでは、労働者階級に多く、総じて年収は低めだそう。
8「倹約志向」層
どの地域・国で調査を行っても必ず出現するグループで、すべての消費行動において価値観よりも金銭を優先する倹約志向の人たちです。 低所得者層を中心に幅広く分布するが、一定の所得があるグループの中にも稀に存在するようです。
日本人の消費における傾向は
日本人の消費における価値観は、グローバルでは一般的な「社会志向」層、「先進・革新志向」層、「快楽主義」層の3つが少なく、自分の考えを特に持たず流されやすいフォロアー層が大きいことが明らになっているようです。
人は、他人から影響を受けますが、日本人は特にその傾向は強いのでしょう。
ビジネスにおいては、どの層に向けて商品を展開していくか等の戦略を持たずにいると、これからより苦労することになる可能性が高いです。
「どの層に向けて、どのようなものをつくるか」を考えることは大事ですが、どのように商品を消費者に訴えかけていくのかという見せ方も、ますます重要になってきます。
個人的には、「社会志向」層は今後より増えていき、良い品質で社会性を持つような商品は、高くても売れていくのではないかと思っています。