型染めで白抜きされた鶴文(つるもん)

デザインにおける鶴(ツル)・鶴文(つるもん)・鶴亀(つるかめ)

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鶴(ツル)は、延命長寿を意味する瑞鳥ずいちょう(吉兆とされる鳥)として、平安時代から画題に選ばれ、文様化されてきました。

広島県の嚴島神社に伝わる国宝『平家納経へいけのうきょう』の表紙には鶴が描かれ、南北朝時代の歴史物語である『増鏡ますかがみ』や鎌倉時代に装束について書かれた有職書である『餝抄かざりしょう』などには鶴丸文様の衣服が記されています。

デザインにおける鶴(ツル)・鶴文(つるもん)・鶴亀(つるかめ)

鶴は、染織文様として、有職織物や名物裂めいぶつぎれ、大漁着、夜着、沖縄の型染、絵絣えがすりなど非常に幅広い範囲で用いられてきました。

デザインも風景文の中に写実的に表現されたものや、ある一定の形で図案化したものに鶴丸や鶴菱などの双鶴文そうかくもん、光琳鶴の丸(こうりんつるのまる)などがあります。

双鶴文(そうかくもん)

鶴を二羽組み合わせ、向かい合わせにした双鶴文そうかくもんは、円形や菱形にまとめられます。

平安時代以降、最も好まれた文様の一つとして、有職織物や能装束のうしょうぞくなどにも用いられてきました。

鶴亀文(つるかめもん)

鶴亀文(つるかめもん)に唐草模様が彫られた伊勢型紙

鶴亀文(つるかめもん)に唐草模様が彫られた伊勢型紙

鶴と亀は互いに延命長寿の吉祥文きっしょうもんとして、平安時代から工芸品や装束などに用いられてきました。

俗に「鶴は千年、亀は万年」と言われるように、庶民にも広く鶴亀文つるかめもんが愛され、絵絣えがすりのふとん地などにも好んで用いられました。

鶴亀文(つるかめもん)に唐草模様が彫られた伊勢型紙

鶴亀文(つるかめもん)に唐草模様が彫られた伊勢型紙

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