タペストリーは、模様(文様)に応じて緯糸を下絵にしたがって織り上げた綴織の一種です。
綴織は、織りたい図柄の下絵を、綴機に張った経糸の下にあてがいながら、平織の組織で経糸に地緯糸と絵緯糸を織り込み、図柄を織り表していきます。
タペストリーは、古代ローマ時代から建築や宮殿を飾ったといわれ、中世以後、フランスのフランドルを中心として発達していきました。
染織におけるタペストリー(Tapestry)の特徴
タペストリーは、経糸に緯糸を通す単純な技法で、絵画のように自由な構図を織ることができます。
もともと下絵は画家の手によって描かれ、織り手はそれにしたがって織り上げていました。
壁掛けなどの屋内装飾や部屋と部屋を区切るための間仕切、保温や防湿などの実用的な機能もタペストリーは備えていました。
経糸は表面に表れないために、丈夫な木綿糸や毛糸が用いられ、模様(文様)を織り出す緯糸は毛糸や絹糸、豪華なものでは金銀糸も用いられました。
色の数は、中世では25色程度でしたが、近代になるにしたがってさらに多くなり、120色にもおよび、色彩も極めて複雑化していきました。
模様(文様)のテーマにもいろいろな移り変わりがあり、キリスト教が関係しているものがもっとも多く用いられてきました。