ネムノキ(合歓木)で染色した菜の花色

染色・草木染めにおけるネムノキ(合歓木)。ネムノキ(合歓木)の薬用効果について


ネムノキ(学名Albizia julibrissin)は、マメ科ネムノキ属で本州、四国、九州、琉球、朝鮮半島、中国の暖帯や温帯に広く分布しています。

葉は、1枚ずつが鳥の羽にそっくりな形をしており、葉柄の両側に小さな葉がいくつも連なっています。

ネムノキ(合歓木),Albizia julibrissin 'Boubri' 2020-07-18 01

ネムノキ(合歓木),Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

このような形状の葉は「羽状複葉うじょうふくよう」と呼ばれます。

和名の「ネムノキ」は、ネブリノキ(眠之木)に由来し、広がっている小葉が夜間は閉じて睡眠現象を示すことから名付けられたものです。

6月~7月頃に花が咲き、夕方に開き、淡紅色をしています。

木材は建築材や器具材等に使用し、また抹香まっこう(焼香の際に使用される粉末状のお香)を作られます。

緑葉を使用して、染色することで、レモン色のような青味のある黄色を染められます。

染色・草木染めにおける合歓木(ネムノキ)

万葉集まんようしゅう』にのっている歌の多くは、飛鳥時代から奈良時代の間に作られていますが、この時代に黄色を染めた染料は、黄檗きはだくわ刈安かりやすなどであったと考えられます。

ネムノキ(合歓木)の花,Albizia julibrissin 'Boubri' 2019-07-20 01

ネムノキ(合歓木)の花,Agnieszka Kwiecień, Nova, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons,Link

ネムノキも『万葉集まんようしゅう』に記載があり、「合歓木」と書き「ねぶ」と読んでいました。

ネムノキ(合歓木)が古くから染色に使用されていた植物ではないとは考えられますが、緑葉を用いて染色する場合の一例としては、以下のような流れになります。

ネムノキ(合歓木)の染色方法

ネムノキ(合歓木)で染色した菜の花色

ネムノキ(合歓木)で染色した菜の花色

①ネムノキ(合歓木)の緑葉500gを6リットルの水に入れて熱し、沸騰してから20分間熱煎して煎汁せんじゅうをとる。4回まで同じように、煎汁せんじゅうをとり、すべてを合わせて染液とする

②染液を火にかけて熱し、絹糸1kgを浸して10分間煮染したあと、染液が冷えるまでか、一晩染め液に浸しておく

③酢酸アルミ40gを15リットルの水に溶かした液に、染糸を浸して30分間媒染する

④染液を再び熱し、媒染した糸を浸して15分間煮染し、染液が冷えるまで浸しておき、水洗いして天日の元乾燥させる

⑤染め重ねる場合は、新しくネムノキ(合歓木)の緑葉500gを用いて、上記の流れで染め重ねていく

⑥染めが終わってからしっかりと水洗いし、天日の元乾燥させる

アルミ媒染を使用して上記の流れで染色していくと、菜の花色のような色合いに染められます。

ネムノキ(合歓木)の薬用効果

ネムノキ(合歓木)の樹皮には、サポニン(julibroside A1, a-spinasterol 3-glucoside)やフラボノイド(5-deoxyluteolin)、タンニンなどが含まれています。

中国では、樹皮を乾燥させたものは「合歓皮ごいうかんひ」として、漢方薬として扱われてきました。

関節痛や腰痛をやわらげ、利尿作用や滋養強壮の効果があると言われており、不眠症や情緒不安定などの症状を改善する漢方薬として広く利用されています。
打撲や腫れ物、リウマチには、ネムノキ(合歓木)を煎<rtせんじた液で患部を洗うか湿布しっぷし、また浴湯料としても使用されます。

【参考文献】『月刊染織α1986年6月No.63』


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