トンボ(蜻蛉)は身近な存在として、古くから文様に用いられてきました。
トンボは、「あきづ」という古名があります。
日本は古く秋津島(あきつ洲)と呼ばれ、「トンボの国」だったとも言われます。
デザインにおけるトンボ・蜻蛉文(とんぼもん)

トンボ(蜻蛉)・蜻蛉文(とんぼもん)が彫られた伊勢型紙
武士の間では、トンボは「勝虫(かちむし)」や「勝軍虫」、「戦勝虫」とされ、矢を入れて肩や腰に掛け、携帯する容器である箙の文様に多く用いられました。
蜻蛉文は、能装束の素襖や法被、武士の扮装(仮装)にも描かれました。
また、水草にトンボが飛ぶデザインは、涼しげな夏の文様として人々から好まれました。

トンボの柄が絞り染めの柄のように彫られた伊勢型紙
蜻蛉絣(とんぼがすり)
蜻蛉(トンボ)は、戦勝虫として縁起の良いものとされ、明治時代中期ごろから男性用の寝具に蜻蛉絣が多く用いられました。
久留米では、第二次世界大戦後から昭和35年(1960年)頃まで、動物文(動物をモチーフにした模様)のほとんどが蜻蛉(トンボ)の模様だったようです。