貝文(貝模様)は、帆立貝(ホタテ)や蛤(ハマグリ)、栄螺(サザエ)などの貝の模様(文様)を単独で用いたり、貝尽くしや海辺風景の一部などにしてデザインに使用されてきました。
沖縄の紅型には、紅葉や花と共に貝を散らした例が多くあります。
貝尽模様(かいづくしもよう)・貝尽文(かいづくしもん)
貝尽文とは、数々の形の変わった貝を集めて模様(文様)としたものを表します。
貝尽文が表現されている例としては、江戸時代前期から中期にかけての大名で仙台藩4代藩主の伊達綱村(1659年〜1719年)の所用と伝えられる友禅染の産着(樺色網干に貝模様友禅産衣)が有名です。
この産着は上半に巻貝や蛤、いたや貝やあわびなどの貝尽模様や海松が染められ、裾に干し網が友禅染でデザインされています。
貝尽模様の部分では、貝の中から海藻が生え出しており、海藻が生えた貝の模様は桃山時代から江戸時代前期にかけて非常に流行したとされます。
紋所には、仙台藩伊達家の定紋である竹に雀紋が染め抜かれています。
参考文献:「桃山・江戸前・中期の産衣十三領について 中 神谷栄子」