「どのようなものづくりであれば、自分たちは本当に誇りを持てるか」を考えることの大切さ。


ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』のなかで、これからのマーケティングのあり方について、参考になる記述がありました。

これまでのマーケディングについては、以下のような記述があります。

ビジネスはこれまで、人々のニーズや好みや購買行動に応じて顧客を分類する技術では、かなりの水準にまで発展してきた。今後は、顧客セグメントごとに自社製品とブランドを注意深く配置して、それらの魅力を高めていくだろう。

成熟した大量消費の市場では、企業は次から次に新しいニーズをつくりだし、人々の心の内に隠れている不安や虚栄心を巧みに操ることも多い。「これを買えば、自信がみなぎるように感じますよ」「これを買えばあなたも人気者」「これを買えば成功します」といった具合だ。

市場のニーズを読み、分析。製品コンセプトを打ち出し、消費者のニーズを生み出す。上記のマーケディング手法は、大学のマーケディングの授業で学べるようなことです。

生み出す商品に誇りを持てるかどうか

本書は、新たなマーケディングのあり方について、以下のように言及しています。

マーケティングに対する進化型組織のアプローチは実に単純だ。正しい提案だと感じる内からの声に、耳を傾けるだけなのだ。顧客調査もフォーカス・グループもない。基本的に、マーケティングは次の一言に集約される。「これが私たちの提案です。今この瞬間に、これこそがおそらく、私たちにできるせいいっぱいのことです。お気に召していただけると良いのですが」。

一風変わったパラドックスだが、進化型組織は世界のノイズ(調査、フォーカスグループ、顧客分類)に合わせるのではなく、自分の内なる声に耳を傾けて世界のニーズに応えようとしているのだ。どのような製品であれば自分たちは本当に誇りを持てるか? どのような製品なら、世界の本当のニーズを満たせるだろう? 進化型組織の人々が、新製品を決めるときに考えるのは、こうした問いであり、分析よりも美と直感で導かれる思考プロセスだ。

世の中のニーズに応えるために、商品を生み出すという思考の過程ではなく、自分の自分の内なる声に耳を傾けて、世界のニーズに応えようとする。

理性や論理が第一ではなく、感性や直感が重要視されるというのが非常に興味深いですね。

どのような製品であれば自分たちは本当に誇りを持てるか?

本書が指摘する次世代型組織のマーケディングのあり方が、この言葉に集約されているように思います。

市場のニーズを分析し、売れるかどうかを優先する視点から、この製品に誇りを持てるかどうかという視点を持つことの大切さを感じます。


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