染料の種類。直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、酸化染料、硫化染料、バット染料、カチオン染料、ナフトール染料、分散染料、蛍光染料について。


染料と呼ばれるものの種類は、非常にさまざまです。

染料の前に意味がくっついた「〇〇染料」という言葉の数々について、紹介します。

直接染料

シルク、ウールなどの動物繊維や綿、麻などの植物繊維の両方に染め付く染料です。

染め方は至って簡単で、お湯を沸かして必要量の直接染料を入れるとすぐに溶けて染浴になり、その中に布をひたせば20分ほどでよく染まります。

その後、水洗いし乾燥させればOKです。

酸性染料

シルク、ウールなどの動物性繊維によく染まるが、植物繊維には染まりません。レーヨンを化学的に改良したアセテート繊維や合成繊維の大部分にも染まりません。

昔の植物染料のうち、八丈苅安(はちじようかりやす)や支子(くちなし)などは酸性染料に属します。

染め方は直接染料と同じ要領です。

塩基性染料

塩基性染料は、色彩が最も美しいとも言われる染料で、シルクやウールによく染まります。

綿や麻にも染まりますが、脱色しやすい場合があるので、色を定着させるためにタンニン酸を用いたりします。合成染料としては最初に発明されたものが、塩基性染料です。

大正時代に「紅梅粉」といわれたローダミンB、「岩」と呼ばれたイチルバイオレットなどは塩基性染料です。

媒染染料

媒染染料は、媒染剤の作用によって色が定着する染料です。

古くは、木灰と水を混ぜてつくられる灰汁や木灰そのものが重要な媒染剤でしたが、現在はもっぱら金属塩類が使われます。

金属塩には、硫酸銅、硝酸銅のような銅塩、酢酸アルミニウムのようなアルミニウム塩、硝酸鉄のような鉄塩、塩化第一錫のような錫塩(すずえん)などがあり、出したい色彩によって使用します。

媒染の種類によって、一つの植物から出せる色彩が変わるものもあります。

酸化染料

酸化染料は、アニリンブラックに代表される染料で、大正から昭和10年代くらいまでは黒の高級染めとして木綿を染めるのに広く用いられていましたが、現在は、ほとんど使用されていないのというのが現状です。

硫化染料

硫化染料は、硫化ソーダを用いて綿や麻の植物繊維を染めるための染料です。

ほとんどが暗い赤色から黒までの色彩で、日光や洗濯による堅牢度は高いです。特殊な例で、絹の染色も行われたことがあるようです。

バット染料

バット染料は、水に溶けない不溶性の染料ですが、アルカリによって還元すると、水溶性の化合物に変わります。

天然の発酵建てによる藍染や、藍の主成分であるインジゴを石油から人工的に合成して作った人造藍、スレン染料ともいう黒味がかった青色粉末のインダンスレンなどはバット染料です。

布に浸して染めてから、空気に触れされることにより、酸化発色するというバット染料の性質によって色を出し、日光や洗濯における堅牢度も良好です。

天然の藍を原料にしても、還元剤であるハイドロサルファイトやアルカリ剤の苛性ソーダを使用してしまうと、シルクに対する染料としては使用するのが難しいと言われています。

カチオン染料

塩基性染料の一種であるカチオン染料は、合成繊維であるアクリル繊維を染めるために開発されました。

鮮やかに発色するものが多く、堅牢度も良好です。

ナフトール染料

ナフトール染料は、昭和の初めごろに一般化した染料です。

ナフトール染料は中間物という、混合すれば色素になる2つの化学合成薬品(下漬剤と顕色剤)を1つずつ繊維に吸収させ、繊維の上で染料をつくって色を出します。

出せる色合いは、非常に広範囲です。

動物性繊維には向かず、植物繊維やレーヨン・キュプラなどの植物由来の再生繊維に使用されます。

分散染料

分散染料はポリエステルやナイロンなどの合成繊維やアセテート繊維に対する染料で、水に溶けない不溶性であるため、各種の分散剤で水に溶かして使用されます。

蛍光染料

蛍光染料は、白色のものをより白く見せるための染料です。

「蛍光」とは、光を吸収してエネルギー過剰な不安定状態となった蛍光分子が、再び安定な状態に戻るときに、過剰なエネルギーを「光」として放出する現象のことです。

目と脳によって光の波長を感じ取ることで色彩を感じられますが、染められた物体に付着していて、自ら放出する「蛍光」も非常に大事な要素なのです。

蛍光染料は、製紙工程や、洗濯の際に蛍光増白剤として使用されることがあります。

参考文献:『日本古代の色彩と染


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